写真① セミナー会場。いつも混雑しています。
さてさて、
前置きがあまりに長い!という関係各所からのお言葉を頂いた、
3章までを経て、カンヌライオンズが開幕しました。
まず、カンヌライオンズにおける「表」のアクティビティは、
こんな構成です。
<表カンヌ・アクティビティ>
①スクリーニング
フィルム、フィルムクラフトなどの「作品映像そのもの」、
もしくはPR、チタニウムなど「応募ビデオ」が
存在するカテゴリーのビデオが、会場内のいくつかのシアターで、
テレビ番組表のように流されています。
②展示
プリントなどの実物、
もしくは他カテゴリーで「プレゼンボード」を伴うものの
ボードが展示されています。
(どの広告祭でも、ちょっと地味なコーナーになってしまうのは、
なぜなんでしょう?)
③セミナー
近年、急激に充実したのがこのセミナー。
8年前に行ったときは、ほぼスクリーニングの添え物でしたが、
今ではこっちがメインという声も。
世界的なエージェンシー、クリエーティブエージェンシーが、
その威信をかけてセミナーによって自社のプレゼンテーションを行います。
業界内の大物(今年はダン・ワイデンが来たり)や、
タレント(今年は、サッカーのロナウド、クリントン元大統領など)が
花をそえています。
④ワークショップ
ここ2、3年で拡充されたのが、講演ではなく、
講義形式のワークショップ。
少人数で構成され、自分の意見を言ったり、
書いたりする行為が加わります。
これは英語が出来る人、もしくはそういう人と一緒に参加しないと
キツいでしょう。
⑤授賞式
会期内の夜に行われる、カンヌライオンズのクライマックス。
各カテゴリーが、1日3つづつくらいの割合で、毎日授賞式が行われます。
(今回は、最終日の前日、前々日は無し)
ここで登壇することが、参加者たちの夢。
まさに、カンヌのプレステージ戦略の真骨頂です。
写真② カンヌのシアター。大小たくさんあります。
・・・と、ほぼこの5つのどれかに参加することになります。
すべてをこなすことは不可能なので、おすすめは、
見たいセミナーを決めておいて、
その空き時間にスクリーニング、ワークショップを入れていくことです。
ただし、カンヌははっきり言って、
キャパシティ以上の人数を登録させているので、
セミナーも、授賞式も、実は参加者全員が入る事ができません。
人気のあるセミナーには、30分~1時間くらいの待ち時間が必要となります。
さらに、「場所取り」も厳しく規制されており、
荷物を置こうとすると、係員から詰めなさい、と諭されます。
この待ち時間が、けっこうなデッドタイムとなるので、
スケジュールを組む上で、考慮しておいたほうがいいでしょう。
写真③ 誰と、ご飯を食べるか、それが問題だ。
さて、ここで「リアルカンヌをお届けする」という当コラムの目的にのっとり、
「裏カンヌ」つまり、会場以外でのアクティビティをご紹介しましょう。
こっちがメインという困った人もいますが、それも含めて、
ダイバーシティを尊重するカンヌです。うーん、奥が深い。
<裏カンヌ・アクティビティ>
①カンヌご飯
カンヌでは、「誰とご飯を食べるか」がものすごく重要です。
カンヌというリゾート地で行われているがゆえに、
人々の心はちょっと開放的。
ここで、ふだんから接している、
同じ会社の人々とだけつるむのは、相当もったいない。
僕はとにかく他社のみなさんと食事するように心がけました。
東京で、制作会社さんはあっても、
他の広告会社のみなさんと食事する機会なんてそうそうないですが、
カンヌの良さは、日本人同士わりとすぐ仲良くなって
気軽に食事ができることです。
しかも、世界の場に立つと
日本での立場や年次もだいぶフラットになるので、
非常に心地よい雰囲気で過ごせます。
(僕が図々しいだけかもしれませんが)
ここでのつながりは、後々あなたを助けてくれるかもしれません。
また、英語が出来る方は、
海外のエージェンシーの方々と積極的に話すとよいでしょう。
しょせん、人間はアナログなので「会ったことがある」「知っている」
に勝るものはありません。もしかしたら、引き抜きも!?
実際に、カンヌは人材の見本市で、
至る所でヘッド・ハンティングが行われています(これは後述します)。
②カンヌ・パーティー
僕が行った8年前に比べると、激減した印象がありますが、
カンヌといえばパーティーです。
今回は、日本なら葵さんやスプーンさんなどが、
マンションのフロアをいくつか借り切り、国内外の人々を招き入れて、
お酒や食事をふるまっていました。
そんな感じで、
いろんな国の制作会社やコーディネーター会社がパーティーを、
ホテルの一室やアパートメントで昼夜問わず開催しており、
送迎バスを循環させているところもあります。
こういったパーティーの開催情報も、
カンヌで知り合った人々からもたらされることが多いので、
大胆に社交的になったほうがよいでしょう。
ちなみに僕は、最初に行ったカンヌで、
スペインの会社のナイトパーティーでデジカメを盗まれました。
おかげで、報告会用に撮りだめた画像を失い、
相当たいへんな思いをしました。
羽目をはずしても、そこが海外であることを忘れずに・・・。
③エスケープ・カンヌ
読んで字のごとく、カンヌを脱出して遊びに行ってしまうことです。
近場なら、モナコやニース。遠出する人は、
パリやイタリアに行ってしまい、
えらい人たちになると、ほぼ会場にいないで最終日の授賞式にだけ、
そっと参加している人も。
フル参加なら、一日くらいこういう日を入れてもいいと思いますが、
目的を忘れないようにしたいものです。
④カンヌ・ビーチ
カンヌはコートダジュールの、美しい海辺の街。
エスケープはしないが、のんびりビーチで休む人も多いようです。
ビーチにはそれなりの割合で、トップレスの女性がいますが、
あけっぴろげな欧米人から感じるいやらしさは、ゼロです。
あくまで個人的な感想ですが。
写真④ カンヌのビーチ。砂が激アツです。
・・・と、表と裏のアクティビティをご紹介しましたが、
カンヌライオンズに対して何を求めるのか?
「受賞」か「研鑽」か「交流」か「売り込み」か「バカンス」か…。
によって、その行動はまるで変わっていきます。
さて、次回からは、独断と私見と感情論で、
その中身に迫っていきます。
(つづく)