いまは一年中グリンピースもキヌサヤも出まわっているが
冬のさなかだと存分に食べられる値段ではないので
八百屋の店先でよく睨んでおいて少し安くなった春先に買う。
グリンピースとキヌサヤとインゲンとスナップエンドウ。
それを昆布と煮干しの出汁で蓋をせずに煮て塩味をつけ
申し訳程度に薄口醤油を落とし、
豆が柔らかくなったら火を止めてそのまま置く。
燗冷ましの酒でもあれば塩の前に入れればいいが、無理にとは言わない。
ともかくこれは煮足りないとダメで煮すぎてもダメという
なんだか妙な煮物なのだ。
豆に味がつくほどに煮ると
さすがのスナップエンドウも完膚無きまでにクタクタになってしまう。
煮足りないとグリンピースが固い(当然だ)
なので、ほどよきときに火を止めて、
余熱で柔らかくして味をしみ込ませる。
このへんの加減は何度かやってみればわかる。
いや、いっぺんでも大丈夫。
早く火を止め過ぎたと思ったら、もういっぺん沸騰させて
グラッと来たら火を消すくらいで修復できるのではあるまいか。
う〜ん、どうだろう。修復できそうだけど。
できなくても、やってみればいい。
少なくとも固くて食べられないよりはは柔らかいのがいいし、
失敗しても、柔らか過ぎて色が悪くなるだけだし、
まあ、ここが問題で、豆と豆と豆と豆がみんなほどよい柔らかさで
色も緑に煮たいのがこの煮物のポイントなのだが…
そして、そのポイントは余熱を使うということなのだが…
これは説明を書けるようなもんじゃないし。
でもきっとできると思う、簡単だし。
で、まあともかく、味つけは、砂糖なし、味醂もなし。薄味。
煮汁を飲んでみて、これが吸い物だったらちょっと辛いですが
まあ飲んでもいいですぜ、というくらいの塩加減。
煮る時間は短いが、蓋をしないから煮汁はたっぷり。
火を止めたときに豆が煮汁の風呂に入っているくらい。
煮えて放置するときも蓋はしない。冷えたら蓋をする。
出汁はよくきかれるのだが
水に昆布と煮干しをつけて数時間放置すればうまい出汁が引ける。
ひと晚というけれど、4〜5時間で大丈夫。
夏は1時間短くていい。
真冬の水も凍る時期だと、私は湯沸かし器のお湯を使う。
昆布は利尻がおすすめ。煮干しは食べてうまいのがいい。
私は煮干しの腸を出さずにまるごと使っているけれど
それは食べて苦くない煮干しを使っているからだ。
こうして引いた出汁は癖がなく何にでも使える。
急いでいるからといってグラグラ煮干しを煮立てると地獄に堕ちますよ。
煮干しの出汁が臭いという人は煮立てているに違いないと思う。
この方式でグリンピースと空豆の煮たのもうまい(なかやま)