夏の須賀川

「夏の須賀川」

       ストーリー 関根寿大(東北芸術工科大学)
          出演 大川泰樹

福島県須賀川市。僕が生まれ育った町だ。
福島のほぼ中央に位置し人口は8万人ほどしかいない。
主な特産物はきゅうりだ。もとい、きゅうりしかない。
夏になると最盛期を迎え、
灼熱のビニールハウスの中できゅうりはぐんぐん大きくなって
朝昼晩と収穫しないと間に合わない。

子供の頃、
収穫に行く祖母について畑に行った。
むしむしする暑さ。土と干からびた草の匂い。
近くの空港から真っ青な空へ飛んでいく大きな飛行機。
そのうち仕事を終えた両親も収穫に加わる。

やっときゅうりの収穫を終える頃には、
僕はとっくに飽きてしまっている。
歩いてきた道を軽トラックの荷台に乗って帰る。
周りはもう暗く、風も涼しくなった。
外灯に反射して田んぼが光り、暗がりには蛍が飛ぶ。
家に帰ったら、きっと父は
プロ野球中継を見ながらビールをのんで
母が作ったきゅうりの浅漬けをつまみにするのだ。

思い出のなかで、須賀川はいつも夏の匂いがする。
東北へ行こう


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