たくさんの香り



たくさんの香り

            ストーリー 船木愛美(東北芸術工科大学)
               出演 西尾まり

たくさんの香りがここにある
海の 森の 川の
他にも同じ香りがあるのに
どうしてここにきてしまうのだろう。
立ち止まって
両手を大きく広げて大きく息を吸って
私は今日も ふぅ・・・と幸せのため息を吐くのだ
「どこに行ったって やっぱり男鹿の良さは変わらないなあ」
なんて、また帰ってくるときに呟くのだろうな。
何度でも戻ってくるよ 男鹿市(おがし)

男鹿市観光協会http://www.ogakk.or.jp/
男鹿ナビhttp://www.oganavi.com/


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山元町の大工さん



山元町の大工さん

            ストーリー 星 智城(東北芸術工科大学)
               出演 大川泰樹

宮城県・山元町
私の実家のある宮城県仙台市から海沿いを南に車を走らせると
山元町はあります。

山元町は緑豊かな水田に囲まれた海の町です。
冬にはホッキ祭が行われ、県内外から多くの人が 訪れます。
私の父の友人の大工さんが住んでいたため、
父に連れられ私は幼少期からしば しば山元町を訪れていました。
海岸に座り家族で食べたお弁当の味は今も忘れません。

今年の 3 月、東日本大震災で山元町は大きな被害を受けました。
2 方向からの津波を受け住宅は壊滅し、多くの死者が出ました。
父の友人の大工さんの家も跡形もなく流されたそうです。

私はその話を聞き、父と共に数年ぶりに山元町を訪れました。
そこには町はありませんでした。
まるで爆撃を受けたかのようなそんな印象でした。
その後大工さんに会いに 行きましたが
実際に被災し家を失った人を前にして、
私は何の話をすればいいのか、
どんな言葉をかければいいのか分からなくなりました。
しかし大工さんは笑っていました。
「家は無くなったが命は助かった。何とかなる。」
そう 言って笑っていました。

山元町は笑顔の素敵な人の住む海の綺麗な町です。

亘理山元商工会http://www.watayama.miyagi-fsci.or.jp/kanko.html




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飛島の民宿



飛島の民宿
               ストーリー 菅野あゆみ(東北芸術工科大学)
                  出演 山田キヌヲ

山形県酒田市に所属する日本海に浮かぶ島「飛島」
私は美術部の春合宿で2 泊3 日
飛島の民宿にお邪魔しました

酒田湾から貨客船に揺られること約一時間と三十分
陸に上がった瞬間 磯の香りが漂い
空にはたくさんのウミネコたちが鳴いていて
島の雰囲気を盛り上げてくれます
周囲約10.2km 面積2.7km2、一日あればすべて回りきれる程の小さな島で
草木や海、古い建物や初めて見る漁船に興奮しながら
スケッチブックを片手にあっちへこっちへ
それはまるで探検でもしているかのようで
何が見えるだろう、何に出会えるだろう、という
未知の景色との遭遇に胸が躍ります

海が本当にマリンブルーの色をしていること
自然の葉っぱの色は絵具の緑の色では出せないこと
船がどんな構造になっているかということ
合宿で得たものは、学校の教室の中では
気づけなかったことばかりで
小さな島ではありますが、3 日間の滞在は
飛島の魅力を描くには短すぎる期間でした

都市のような便利さや、チェーン店のひとつもない
貴重な なにもない があるところ
それが、私が飛島を好きな理由です。    

飛島http://www.sakata-kankou.gr.jp/tobishima/tobishima.html

飛島で遊ぼうhttp://www.4071.net/tobishima/

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北上線に乗って

北上線に乗って

              中山佐知子

東北の夏は一面の緑です。
その緑のなかに一本の線路が通り
ポツンポツンと小さな駅があります。

山がそこまで迫っている駅、
少しひらけた田んぼのなかの駅、
丈の高い草に埋もれそうになっている駅
高校生が乗ってくる駅、森のなかの駅
駅の向いに小さな宿のある駅
山の駅の向かいに小さな農家があって
ホームからその家に行くには踏切を越えるのですが
どうやらその家だけのために踏切があるんじゃないかな、と
思った駅もありました。
東北の在来線はひとつひとつの駅が個性的です。

列車は2両編成のワンマン列車です。
運転席近くの席に座り
ドアが開くたびに写真を撮っていたら
シャッターの音がするまで
運転手さんがドアを閉めるのを待ってくれることに気づきました。

横手から終点の北上までおよそ60分
東京では10分乗るときでも本を開いてしまうのに
東北の列車では
本はとうとうカバンから出すこともありませんでした。

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昔祖母がしてくれた話



昔祖母がしてくれた話
             ストーリー 岸 春華(東北芸術工科大学)
                出演 大川泰樹

ここに来ると
昔祖母が話してくれた昔話を思い出す。

―この世にはたくさんの神様がいる
木の神様に、水の神様、土の神様に、日の神様
おまえが持っている物にもみぃんな神様が宿っていて
だから神様を大切に大切にすれば
神様もおまえを大切に大切にしてくれるんだ
でも人間は欲張りだから
神様を怒らせてしまう時がある
そうすると神様はどこかに行ってしまって
人間を大切にしてくれなくなってしまうんだよ
でも神様を大切に大切した人間はいつか神様から
ご褒美がもらえる
さぁ、それがいつかは分からない
でもばあちゃんはちゃあんとご褒美をもらったよ
だからおまえもちゃんとご褒美がもらえるような
大人になりなさい―

ここにはきっと神様がいる
この場所に出会えたことがきっと神様からの
ご褒美なのかもしれない。

どの駅からも遠い。どの町からも遠い。
―仙峡の里、「銀山温泉」

● 銀山温泉組合http://www.ginzanonsen.jp/


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マイネージャー



マイネージャー

           ストーリー 赤羽麻凛(東北芸術工科大学)
              出演 西尾まり

高校に上がり、初めての夏。
お母さんの実家の青森に久しぶりに行くと、
おばあちゃんが笑顔で迎えてくれた。
おばあちゃんはときどき、何を言っているのかわからないけれど、
お話していると心が和む。

「おばあちゃん、私高校でサッカー部のマネージャーすることになったの」
 「んだのがー、よかったねえー」
「でもすっごく大変なんだよ。この前は疲れて宿題もできなかったし」
 「あらー、それだばまいねーじゃー」
「おばあちゃん、マイネージャーじゃなくてマネージャーだよ」
 「だからマネージャーだっきゃまいねーじゃ」
「……。ま、いっか」

おばあちゃんがマネージャーのことをマイネージャと呼ぶのを
東京の友達に教えると、
みんなそれからマネージャーをマイネージャーと呼ぶようになった。

「タオル!マイネージャー!」
「マイネージャー、今日調子悪いな!」

それから、まいねーじゃ、という言葉がダメだなあという意味だと知ったのは
高校を卒業してからだった。

五年後、同窓会でそのことをはなすと、みんな大笑いしていた。
••何年も先まで楽しくさせてくれる、青森。

● 青森県観光情報http://www.aptinet.jp/index.html

● 青い森の写真館http://www.aosya.com/index.html


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