海燕ホテルブルー

大川泰樹くん情報によると
「女優が裸になって地曵も裸になって走るシーンがあるが
 女優の尻より地曵の尻がキレイだった」ということらしい。

その地曵豪くんくんによると
「映画のなかに出てくるヘンな服は全部若松孝二監督の私物です」
ということらしい。
上の予告編に登場している赤い上着も
実は若松監督の還暦祝いの服だそうだ。
地曵くんはうっかり監督の甚平を着せられそうになった。

そんな興味で見に行っていいのだろうかとも思うが
そんな興味で見に行ってしまうのだ(なかやま)


84分‎‎
監督: 若松孝二 – 出演者: 東加奈子, 白井咲, 山岡一, 水上竜士,
大西信満, 渋川清彦, 中沢青六, 真樹めぐみ, 廣末哲万, 井浦新,
ウダタカキ, 地曵豪, 片山瞳, 岡部尚

テアトル新宿
  東京都新宿区新宿3-14-20 新宿テアトルビルB1F
  ‎10:30‎ ‎12:30‎ ‎14:30‎ ‎16:30‎ ‎18:30‎
横浜ジャック&ベティ
  横浜市中区若葉町3-51
  3/24(土)〜3/30(金)10:00 / 13:45 / 16:20 /18:00~19:30
  3/31(土)〜4/6(金)14:40 / 20:25※予告なし~21:50
  4/7(土)〜4/13(金)12:20 / 19:35~21:05

*ストーリーを解説してあるサイトはこちら。
 監督がヘンな人だと解説が面白いです。

http://blog.livedoor.jp/y0780121/archives/50696965.html#

http://blogs.yahoo.co.jp/singleandover40/1343617.html

http://eigajigoku.at.webry.info/201203/article_16.html

http://d.hatena.ne.jp/flug01/20120401/1333276778

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タカハシマコト 2012年3月18日

電車ごっこ

           ストーリー タカハシマコト
              出演 地曵豪

子供たち、ことに男の子は、
ものごころつく頃、「動く、大きなもの」を好きになる。
動物だとゾウやライオン、工事現場で働くクルマ、そして鉄道だ。

今も昔も、子供たちは遊び場探しの天才。
電車好き少年たちもまた、そう。
もちろん駅に電車を見に行くのは楽しいけれど、
もっと日常的にできること。
それは、「電車ごっこ」。
「ガタンゴトン、ガタンゴトン」「シュッシュッポッポ」と声に出さなくても、とび縄を使って誰かと「二両編成」にならなくても、電車ごっこはできる。

小学校へ向かう道すがら。
道の脇にある排水溝が、ところどころコンクリートの蓋で覆われている。
その蓋を線路に見立て、少年の列車は発車する。
子供の体重でも踏むたびにガタガタいうところが、妙に電車らしい。
蓋が途切れ、ドブがむき出しになると、
ちいさな電車はモノレールのように足を広げて進む。
足を踏み外さないように気をつけながら、
でも遅刻しないようにできるだけ急いで。

やがて、大きな難関が立ちふさがる。
排水溝が通学路とは違う向きに折れている曲がり角。
このまま自分の線路を走り続けるのか?ここでいったん脱線するか?
少年はひとつのルールを編み出す。「一度だけ乗り換えOK」。
新しい線路は歩道の白線。
先ほどより細い幅からはみ出さないように気をつけながら、
彼は一目散に学校に向かって駆けていく。

時が過ぎて、少年は、新しい楽しみを見つける。
サッカーに野球、ゲーム、マンガ。
輝いていた電車は塾へ通うための単なる交通機関になり、
もう道で線路を探すことはない。
大人になるというのは、新しいレールに乗り換えることだから。

ずっとずっと月日が過ぎて、
通学路として通った道を、かつて少年だった男が歩いている。
歩道の真ん中を歩こうとする彼の手を
男の子が端っこの排水溝のほうへ引っ張る。
ガタゴトとコンクリートの蓋を鳴らして、その上を歩きたくて聞かないのだ。
あの頃の彼に似た小さな電車が、
一周したレールの上を走りはじめる。

出演者情報:地曵豪 http://www.gojibiki.jp/profile.html

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中山佐知子 2012年2月26日

秒速8キロメートルで飛ぶ

              ストーリー 中山佐知子
                 出演 地曵豪

秒速8キロメートルで飛ぶステーションは
1日に地球を16周し
45分の昼と45分の夜が16回繰り返されます。

その1時間半の昼と夜を一日と数えると
僕は1年で16歳も年を取ることになります。

同い年のはずだった僕が
16歳も年上になって帰ってくるのはイヤですか。
そんなメールを書いたら
イヤです、と、きっぱり返事をくれたあなたが
僕はとても好きです。

ステーションの窓から眺める45分の夜には
金色の砂粒で描かれたような絵が見えます。
人がともす灯りが都市の形を浮かび上がらせているのです。
こちらに来たはじめの頃は
自分の国の灯りを、そして
自分が住んだ街の灯りをよくさがしていましたが
いまはただ、灯りの多さと灯りを使う人の多さを思い
このおびただしい灯りがひとつも消えることのないようにと
願うだけになりました。

地上の灯りは人々の暮らしがそこにあることを告げています。
僕はここに来て以来、人がともす灯りが大好きになりました。

あなたの街に灯りがともりはじめる夕暮れの空に
流れ星より明るい光が移動するのを見つけたら
それが僕のステーションです。
けれども、地上に届く僕たちの光は
僕たちが仕事をしたり食事をしたりするための灯りではなく
電池パドルやラジエーターが太陽の光を反射している光です。
もしステーションから人が消えても、命の気配が消えても
その光は消えることなく軌道をまわりつづけます。

だから、あなたはあなたの灯りを大事にして
毎日を生きてください。
僕がそれを眺めていることを
ときどきでいいから思い出してください。

実は報告があります。
ステーションに勤務する期間が少し延びました。
45分の昼と45分の夜が16回繰り返される日があと1年続きます。
もう1年、45分の昼と45分の夜を一日と数え続けたら
あなたと同い年だった僕は
32歳年上になって帰ることになります。
そんな僕はイヤですか?

出演者情報:地曵豪 http://www.gojibiki.jp/profile.html

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地曳豪から「ひと言」

皆様お久しぶりです。
何度も何度もランダムハウス(TCSを収録している会社)に
来社しているくせに、
先日初めてここが土足厳禁な事を知った地曵豪です。
 
びっくりしすぎて思わず
 
「こ、ここの店・・・土禁なんすか?!?!?」
 
と言ってしまいました。
店ってなんだよ、店って・・・。
 
すいません、何だか武道派なイメージが先行してますけど
本当はバカなんです。
次回から靴脱ぐので許してください、中山さん。。。。
 
あと私事で恐縮なのですが、
出演させていただいた「海燕ホテル・ブルー」が
いよいよ3/24からテアトル新宿で公開致します。
それに先駆けまして、
来たる2月9日(木)21時から1回だけ先行上映することになりました。
もしお時間がありましたら是非観に来てください!
 ※写真は撮影場所の伊豆大島です。
 
 地曵豪
 
 海燕ホテルブルー公式サイト
http://www.wakamatsukoji.org/kaien/index.html
 完成披露上映会の詳細
http://www.ttcg.jp/theatre_shinjuku/topics/detail/11533

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岡部将彦 2012年1月9日

「外交カード」

          ストーリー 岡部将彦
             出演 地曵豪

やれやれ、いつの間にこんな劣勢になってしまったんだろう。
俺は持っていた手持ちのカードを放り投げてしまいたくなった。

今、俺が仲間たちと延々やっているのが『外交カード』。
それぞれが「国」になり、
あの手この手で他国より成長するというカードゲームだ。
あの「モノポリー」も世界恐慌時にヒットしたと言うが、
閉塞感のある世の中のせいか、巷じゃ密かなブームになっている。

簡単にルールの説明をしよう。

カードは大きく3種類に分けられる。

まず各プレイヤーに配られるのが【国力カード】。
このカードの奪い合いがゲームの目的だ。0枚になった時点でゲームオーバー。
これには「資源」「経済力」「技術力」「軍事力」「領土」の5種類がある。
国力カードは各プレイヤーのパラメーターも兼ね、
常にオープンにした状態でゲームを進める。

次に【イベントカード】。
これは、自分の番が回ってくる度に引く。
自国にとってプラスなときもあれば、もちろんマイナスなときもある。
「世界同時不況」なんていうプレイヤー全員に影響を与えるカードもある。

そして最後がゲーム名にもなっている【外交カード】。
このカードの使い方が勝敗を分ける。
ここに、このゲームの知的な面白さがある。
いくつか外交カードを紹介しよう。

○「諜報」…相手の手持ちの外交カードをオープンにすることができる。
○「貿易」…手持ちの国力カード1枚と他プレイヤーの国力カード1枚を強制的に交換。
○「関税」…他プレイヤーによる「貿易」の使用を防ぐ。

【イベントカード】や【外交カード】の効果は、
手持ちの【国力カード】の枚数と密接に関わってくる。
たとえば、「不平等貿易」という外交カードは、
こちらの軍事力が相手の軍事力よりも3枚以上多いときのみにしか
使用できない、と言った具合に。

つまりゲームも中盤にさしかかると、
強い者は、より有利にゲームをすすめることができ、
逆に一旦劣勢になると、なかなか抜け出すことができない。

妙に現実的というか、まあ夢のないゲームとも言える。
だからこそ、こうしてハマっているわけだが…。

しかし今日はどういうことだ。
序盤こそ調子が良かったものの、じわじわと攻め込まれ続けている。
もはや、ラッキーなイベントカードによる
一発逆転に賭けるしかないところまで追い込まれているじゃないか。

俺は、祈るような気持ちでイベントカードを引いた。
ゆっくりとめくるカードに書かれた3文字。

「大災害」

ああ…終わった。
手持ちの国力カードの半分を捨てなきゃならない。
最悪のイベントカードだ…。

だが、顔が曇ってるのは、俺だけじゃなかった。
「ハウスルールを読めよ」
プレイヤーのひとりが言った。

そうだ、このゲームのもうひとつの特色の説明を忘れていた。
それがハウスルール。
すべてのカードには独自のルールを書き込む欄がある。
この欄に、時勢に合わせたルールを自由に書き込むことで、
よりリアリティのあるゲームが楽しむことができるというわけだ。

そこには、おそらくあの日以降、
誰かが書いたであろうハウスルールが書き込まれていた。

○「大災害」…手持ちの国力カードの半分を破棄しなければならない。
(ハウスルール)ただし、大きな災害を前に国民は一致団結。
今後、すべてのカードの効力は2倍となる。

出演者情報:地曵豪 フリー http://www.gojibiki.jp/

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中山佐知子 2011年12月25日

カインから数えて七代めの子孫

              ストーリー 中山佐知子
                 出演 地曵豪

カインから数えて七代めの子孫にトバル・カインという人があった。
祖先のカインは土を耕し作物を実らせる人だったが
羊飼いの弟アベルを殺した罪で追放され、
カインとその末裔は印をつけて地上をさまようものになった。
もはやどこにも安住の地を見いだせない彼らは
羊飼いになったり、竪琴や笛を演奏する遊芸の世界に身を投じたり
鉄や青銅で道具をつくる鍛冶屋として生きていた。

そんなわけでカインから七代めのトバル・カインが
鍛冶屋を生業(なりわい)にしていたのも不思議ではなかった。
トパル・カインにはひとつの望みがあった。
カインの印をつけられ憎しみを受ける一族のために
この世でもっとも強い武器をつくりたい。
彼はそのための鉱石をさがしていた。

ある晩、トバル・カインは天空から火の玉が降るのを見た。
火の玉は山の麓を貫くように落下し
トバル・カインがその燃え跡をたよりに行ってみると
そこにはみたこともない鉱石があった。
鉱石には自分に似た印が刻まれていたので
良きにつけ悪しきにつけ自分に与えられたものだと知った。

トバル・カインは印のある鉱石を持ち帰り、1本の槍を鍛えた。

神はその槍をトバル・カインが所有することを許さず
岩山に隠すように告げられたが
数千年のうちにいつしか見出され
槍は持ち主を変えながらイスラエルをさまよった。

紀元前一世紀になると
トバル・カインの槍はローマ軍の100人隊長が代々受け継ぎ
所有するものになっていた。
槍は決して錆びず、また刃先が欠けることもなかった。

紀元28年に、槍の持主だった100人隊長は
ローマが支配するユダヤ州に勤務していた。
その日は罪人の処刑が行われており
本当に死んだかどうかを確認するために
十字架にかけられた罪人をいちいち槍で刺してみることになった。
トバル・カインの槍はナザレのイエスと名乗る
政治犯でテロリストだった男の
四番めと五番めの肋骨の間を脇腹から肩口にかけて刺し貫いた。

ロンギヌスの槍が誕生したのはその瞬間だった。
このときからトバル・カインの槍は
キリストの血に触れた聖なる遺品として崇められ
持ち主の名を取ってロンギヌスと呼ばれることになった。

以来、ロンギヌスの槍からカインの名は消えたが
槍のもとになった隕石の鉄は
この星に人類の歴史が刻まれる以前から
宇宙を孤独に旅していたものであり
さまようものの印として
三角形を重ねたような美しい結晶模様を持つのだという。

出演者情報:地曵豪 http://www.gojibiki.jp/profile.html

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