東北へ行こう(関東視点)
ストーリー 佐々木脩平
出演 岡田優
北海道は寒すぎるし
沖縄は暑すぎるし
四国は行き方がわからないし
中国は日本なのか分からないし
中部はどこからどこまでかわからないし
近畿はどこかすらわからないし
そうだ、東北へ行こう
*「東北へ行こう」は
自分のとっておきの東北を紹介し、
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東北へ行こう(関東視点)
ストーリー 佐々木脩平
出演 岡田優
北海道は寒すぎるし
沖縄は暑すぎるし
四国は行き方がわからないし
中国は日本なのか分からないし
中部はどこからどこまでかわからないし
近畿はどこかすらわからないし
そうだ、東北へ行こう
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俺のなでしこジャパン
なでしこジャパンの選考にもの申したい。
ワールドカップ優勝、オリンピック銅メダル。
サッカーの結果からいえば文句のつけようがない。
でも、なでしこって、大和撫子でしょ?
ここはひとつ、美しさだけで
11人を選んでみようじゃないか。
まずフォワードから選ぶとしよう。ツートップの一角に、
圧倒的な攻撃力をほこるストライカーとして沢尻エリカを。
彼女には多少のラフプレーも辞さない
往年のロマーリオのようなプレーを期待したい。
そして、もう一角には高さが必要だ。
候補は3人いる。
長澤まさみ(168センチ)
新垣結衣(168センチ)
松島菜々子(172センチ)
おおいに迷うところだが、
ここは松島のベテランとしての経験に賭けてみたい。
次は中盤だ。
まず司令塔。日本の10番を背負う訳だから、ここは重要だ。
綾瀬はるか、か、北川景子なんだが、悩ましい。
本田か、香川どっちを真ん中するかぐらい悩ましい。
が、ここは綾瀬はるかで。
北川景子には左サイドに回っていただくことにしよう。
AKBから1人ぐらい選んだ方がいかなとも思うので
とりあえず、右サイドに小嶋陽菜。
ここは、だれでもいい。まえあつでも、大島優子でも。
あとは、守備的なミッドフィルダー。ボランチである。
ここは絶対的な安定感が欲しい。向こう10年は任せられるような。
そうすると、竹内結子しかいないでしょう。
守備は、4バックで。
サイドバックは運動量が豊富な若手がいい。
若手で元気といえば、剛力彩芽か武井咲。
この2人を左右に据えたい。
センターバックには強いフィジカルが必要だ。
ということは、ボディバランス優先でグラビアから1人選びたい。
順当に選べば吉木りさであろう。
もう1人のセンターバックは、ハリウッド女優を帰化させたい。
アン・ハサウェイがいい。日本名は「葉佐上井アン」にしよう。
最後にゴールキーパーは、ホープソロで。
アメリカ代表じゃないかって?
まあ、いいじゃない。美しいんだから。
帰郷
スト−リー 阿部将也(東北芸術工科大学)
出演 岡田優
一度、出ていったんだ。
都会へ行けば、
キラキラした世界に飛び込んでしまえると知っていたから。
本当にキラキラしてた。
まるで日本じゃないみたいに。
けれどもオロオロしてた。
まるで日本にいないみたいに。
遊ぶ所なんて山ほどあるし、
欲しいモノだってすぐに手に入ったし。
でもねえ、何か駄目だったんだ。
星ってさ、都会でも見れるんだよ。
虫ってさ、都会にもいるんだよ。
そしたらなぜだかか泣きたくなって。
ああ。そうか。
都会にはふるさとがないんだなって。
ふるさとはふるさとにしかないんだなって。
リアスの海岸も
そこに浮かぶ牡蠣のイカダも。
ブナの原生林もそこから流れ出す水も
そしてその水を引いた田圃に実る稲穂も。
峠のマザーツリー、じいちゃんが好きな地酒
広い空、降る雪のしずけさ….
そしたら何だか、そこに居たくなったんだ。
ふるさとはふるさとにしかない。
東北は 東北にしかない。
東北へ行こう
旅・東北:http://www.tohokukanko.jp/
東北観光博:http://www.visitjapan-tohoku.org/
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タケシ
ストーリー 山本高史
出演 岡田優
両親はきちんと見えるようだから、オレが生まれつき目が見えないというのは何か
のはずみだ。な-んにも見たことがない。そうして17年間生きてきた。「不自由な
思いをさせて」と親に悲しそうな声で言われたりしてきた。もちろんこれが自由だ
とは思わない。でも自分のできることはすべてできる。ギターも弾けるしね。チャ
ーハンくらいならひとりで作れる。いいことと悪いことを自分なりに判断もできる。
その限りにおいては不自由じゃない。自分のできないことが多いことを不自由と呼
ぶのならば、ぼくもそうだが目の見える人もそういうことだろう。同じだ。目は見
えないが耳や鼻はその分優秀らしい。小学2年生のとき友達の家のかすかなガス漏
れを発見したこともある。自分としては利口な犬のお手柄みたいでちょっと嫌だっ
たが、命拾いした仲間たちにはそれからしばらく「ゴッド」と呼ばれた。目が見え
なくて耳と鼻が少しいい人生がどういうものか、いいものか悪いものか他人の人生
と比較のしようがないのでオレにはわからない。いいも悪いもオレにはこれしかな
いんだから、満足も不満足もない。もしオレの目が見えていても、きっとそういう
ことだろう。
ある日大ニュースがあった。オレの目が見えるようになるらしい。医学の輝かし
い進歩だ。両親はオレの手をとって、しばらく泣いていた。オレは生まれつきのこ
とだからあきらめていたのか、もしくはこれはこれで問題もなかったので見えるこ
とを激しく望んだことはなかった。しかしいいニュースに違いない。わくわくもす
る。これを喜ばなければ何を喜ぶべきか、って感じ。入院して手術して成功した。
あっけないほどだった。手術前は「怖くないですよ」とか「痛くないですよ」と吉
田先生や看護師の岡本さんにむしろ脅された。目の中にメスという名の刃物を入れ
るらしい。しかしオレはメスというへんな名前のヤツはおろか自分の目ん玉も見た
ことはないのだ。見たことないもの同士で彼らの言う恐怖をどう組み立てていいの
かも想像もつかない。そんな感じも含めて手術はあっけなく終わった。岡本さんが
言うには、吉田先生は名医で経過は順調だということだった。岡本さんは可愛い声
の人で、ハタチだと言っていた。オレはまだ17だから働いている女の人が年上な
のはしょうがない。体温とか血圧とかでカラダを触られると、正直どきどきした。
包帯というヤツで目の回りはぐるぐる巻きだったが、病院の中を普通にあちこちう
ろうろもできたし、もともと見えないからね、入院生活もイヤな感じじゃなかった。
そしてメインイベントにしてクライマックス、目の包帯を取る日がやってきた。
オレとしては何が見えるということよりも、見えるという感覚はどういうものなん
だろということでアタマがいっぱいで、でも想像してみたところでわかるわけなく
まあいいか程度の気分でいたが、母親や岡本さんのほうが興奮していることは声の
トーンでわかった。テレビの感動ドキュメンタリ-にありそうな話だ。そのうちオ
レのまわりで、オレが最初に見るべきものは何であるかということが議論が始まり、
オヤジが「やっぱり自分の姿だろう、自分の存在をはっきり自覚できるから」と言
い、なんだよちょっと待てよオレはそもそもここに存在しているではないかという
ことを口にしようとしたが、まわりの連中は一気に納得したみたいでオヤジは満足
げに咳払いをした。
「じゃあ始めます」とカウントダウンしかねないようなウキウキした声で岡本さ
んがオレの包帯を取った。さあゆっくり目を開けてだいじょうぶだよ」という吉田
先生の声でオレが自分の目で生まれて最初に見たものは、壁にかかった板だ。つる
んとしている。これが鏡というヤツか。ものや人を映すものと聞いたことはあるが
もちろん見るのは初めてだ。そしてつまりその鏡という板にへばりついているヤツ
がオレということになる。これが鼻か。穴はこういうふうに開いていたのか。以前
から目と鼻の位置関係はほぼつかんではいたものの、正確にはこういうふうになっ
ているのか。試しに口を開いてみた。なんだこの肉の色。なるほどそうかこういう
のを色というのだな。その奥は穴だ。こんなところに食べ物を放り込んでいたのか。
食べ物ってのは何なのかね。何だったのかね。固かったり軟らかかったり乾いてい
たり濡れていたり。そう思いながら、オレはガッカリしたし疲れた。オレは自分が
こんなに物体だとは思わなかった。食べ物と同じ物体だ。固かったり軟らかかった
り乾いていたり濡れていたり、何なのかねオレ。オレには想像力しかなかったから、
でも想像力は無限につながっていってオレを飽きさせることはなかったから、自分
は大きいも小さいもなく表わしようもないくらいとてつもないものだと思い込んで
いたけど、目の前のこの物体じゃあなあ。タケシという名前はコイツこの物体につ
けられた名前だ。オレじゃない。それにしても鏡。おまえ何映してんだ?ほんとお
まえつまらねえヤツだな。オレは鏡を叩き割りたい衝動を押さえるように目を閉じ
た。すっごく落ち着いた。
出演者情報:岡田優(劇団海亀の産卵)