張間純一 2010年2月20日ライブ(ショート)


「わかりにくい親切」
            
ストーリー 張間純一
出演 坂東工西尾まり

んさみな

んさみなの にかな

げなはが てびの るい とひが るい んせまれしもか

らかだ

したわは のこ うごんあの ばとこで てえしお すまい

のこ うごんあに がき たいつ とひは

んぶじごの なはを てっわさ げなはが てのび かいな てめかした いさだく

げはなが てびの るい とひは たなあ んせまれしもか

りなとの とひが なはを てっわさ らたっかない

のそ とひが げなはが てびの るい とひ んせまれしもか

<「わかりにくい親切」の同時通訳>

みなさん みなさんのなかに
鼻毛が伸びている人が いるかもしれません
だから
わたしは この暗号言葉で 教えています。
この暗号に気がついた人は
ご自分の鼻にさわって 鼻毛が伸びていないか 確かめていただきたく
鼻毛が伸びている人は あなたかもしれません。
となりの人が 鼻を さわっていなかったら
その人が 鼻毛が伸びている人かも しれません

出演者情報:坂東工西尾まり 03-5423-5904 シスカンパニー

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張間純一 2010年2月20日ライブ(レギュラー)


「わかりにくい親切」
            
ストーリー 張間純一
出演 西尾まり坂東工

んさみな

んさみなの にかな

げなはが てびの るい とひが るい んせまれしもか

らかだ

したわは のこ うごんあの ばとこで てえしお すまい

のこ うごんあに がき たいつ とひは

んぶじごの なはを てっわさ げなはが てのび かいな てめかした いさだく

げはなが てびの るい とひは たなあ んせまれしもか

りなとの とひが なはを てっわさ らたっかない

のそ とひが げなはが てびの るい とひ んせまれしもか

<「わかりにくい親切」の同時通訳>

みなさん みなさんのなかに
鼻毛が伸びている人が いるかもしれません
だから
わたしは この暗号言葉で 教えています。
この暗号に気がついた人は
ご自分の鼻にさわって 鼻毛が伸びていないか 確かめていただきたく
鼻毛が伸びている人は あなたかもしれません。
となりの人が 鼻を さわっていなかったら
その人が 鼻毛が伸びている人かも しれません

出演者情報:坂東工西尾まり 03-5423-5904 シスカンパニー

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上田浩和 2010年2月20日ライブ


生ビール

          ストーリー 上田浩和
             出演 西尾まり

生ビールばかり飲むその男の腹は、
取り返しがつかないほど膨れていた。
飲むたびに口についた白い泡は、
じょじょに白い髭となり、顔の半分をおおっていた。
還暦を迎えた日、赤いちゃんちゃんこを着ると、
男は、赤い服を着た白い髭の太ったおじいさんだった。
男は、サンタクロースになっていた。
クリスマスイブの夜。
男は、トナカイのひくソリにのり、空のいちばん高いところにいた。
年金生活者の男に、プレゼントを買う余裕などないが、
片手には、その夜も生ビールがあった。
男は、白い泡に息を吹きかけた。
大きく波打った白い泡は、そのままジョッキからあふれ、
夜空の下へと落ちていく。
白い泡は、白い雪となり降り積もり、
そして町を真っ白に染めあげた。
何十年ぶりかの、ホワイトクリスマスに喜ぶ町を見下ろしながら、
サンタになった男は、ひとり乾杯をした。

出演者情報:西尾まり 03-5423-5904 シスカンパニー

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一倉宏 2010年1月7日



夢を話せば
             
ストーリー 一倉宏
出演 坂東工 & 西尾まり 

<男>
君だって 夢みていただろう いつもいっていた
夢のない男はいやだ 夢をもてない男に興味はない
<女>
その夢から 何年が経ったと思う?
あなたは いまも夢の話ばかり いいえ 夢のような話ばかり
<男>
夢なんて 食べられないっていうんだろ
そのとおり 夢を食べられるのはバクだけだよな
飲みにいこうよ 「夢の扉」という あのBARへ
僕の夢をグラスに おかわり自由の夢を いくらでも
<女>
そうやってまた 夢の話をするんだ
私は あなたの夢に 酔いすぎていた
それ以上に あなたはあなたの夢に 酔いすぎてしまう
<男>
あの日 君に出会えたことは 夢のようだった
それでもいい足りない 夢の中でみる 夢のようだった
<女>
だとすれば この私は 夢の中の夢の女
あなたが話すことは いつも 夢のまた夢
<男>
夢から覚めても それでもまだ 夢があるから
そしてずっと 君は夢の女だ 僕にとって 
<女>
私の夢は あなたがもう 夢から覚めること
そうしてもういちど ふたりの夢をみること 
<男>
僕はみるべきだろうか 君のみる その夢を
夢を捨てる僕を 僕の夢を捨てて叶える 君の夢を
<女>
私は決して 夢のような日々を 夢みてはいない
夢ではない夢をみたい ただそれだけ
それでも夢だというの こんなにもささやかな夢を
<男>
僕の夢は 僕のみる夢を 君とみることだ
君のみる夢を 僕もみることだ
それが 僕らの夢だったじゃないか
<女>
あなたが夢をみているあいだに なんども朝がやってきた
あなたの夢を覚まさないよう いつもそっと出ていった
夢をみているあなたの寝顔が 私の幸せだったとしても
<男>
君の横顔は 夢のように美しい いまも
<女>
涙がでてきた 
涙で曇って もうみえない 夢は
<男>
今夜は帰ろう 僕の夢の中へ
<女>
夢なら覚めて おねがい この夢は長すぎる
<男>
帰ろう 夢の中へ
<女>
こうして いつまでも私は 夢みつづけていくのか
この長すぎる夢から 覚める朝を
<男>
信じないのか 僕らの夢を
<女>
信じてる 夢ではない あなたなら

 
出演者情報: 坂東工  西尾まり 03-5423-5904 シスカンパニー

shoji.jpg  
動画制作:庄司輝秋・浜野隆幸


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高崎卓馬 2009年5月16日ライブ



おばあちゃんへの手紙

                   
ストーリー 高崎卓馬
出演 西尾まり 

おばあちゃんが死んだ日に
おじいちゃんはそのことがよくわからなかった。
おばあちゃんを送る日に
おじいちゃんはずっと新聞を読んでいた。
お線香の匂いが 
冬の朝を包んでも
お経が流れても
おじいちゃんはずっと新聞を読んでいた。

「おじいちゃんそれ昨日の新聞だよ」

おじいちゃんはいろんなことがわからなくなっていた。

おばあちゃんとおじいちゃんは
そんなに仲が良くなかったようだった。
おじいちゃんは、ほんとうのおじいちゃんじゃなかった。
戸籍上の話。
戦争で死んだ本当のおじいちゃんの弟が、おじいちゃんだった。
昔は珍しくない再婚話。

おじいちゃんとおばあちゃんは、
どこかで線をひいていっしょに暮らしていた
孫の僕にだってわかるような境界線。

ふたりに子供がいなかったせいかもしれない

おじいちゃんはおばあちゃんを好きだったのかな
おばあちゃんはおじいちゃんを好きだったのかな
お経を聞きながら、僕はふたりを可哀想におもった。

「たくちゃん、これ何時に終わる?」
おじいちゃんは僕にお葬式の終わる時間を何度も何度も聞いてきた。
「たくちゃん、これ何時に終わる?」
何十年も一緒に暮らしたひとがいなくなった日のことが
わからなくなったおじいちゃん。
「たくちゃん、これ何時に終わる?」
おじいちゃん、お葬式のことをこれって言わないで
お願いそんな質問しないで
ずっとずっと新聞を読んでいていいから
誰か他のひとに聞いて
「たくちゃん、これ何時に終わる?」

すべてが終わって
食事が出てきた頃
僕はおじいちゃんがすこし嫌いになっていた。
「おじいちゃん、先に帰って寝てる?」
それは優しさとかじゃなくて
もういちど僕がそういったとき
僕の目の前で、
おじいちゃんが突然泣き出した
ちいさな肩がちいさくちいさく揺れて
使い古された咽がひゅーひゅーなって
しわしわの頬に涙がたくさん枝別れして。

おじいちゃんはたぶん、
おばあちゃんがすごく好きだったんだ
よかったね、おばあちゃん

*出演者情報 西尾まり  03-5423-5904 シスカンパニー

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中村直史 2009年5月16日ライブ



   
隣人を愛そう

             
ストーリー 中村直史
出演 大川泰樹坂東工西尾まり 

  
隣人を愛そう

ニンジンを愛そう

ニンジャを愛そう

大蛇を愛そう

大ちゃんを愛そう

大ちゃんならああ言いそう

第3者機関ならこう言いそう

第3舞台ならそれやりそう

退散するのは難しそう

解散するのは予算成立後

発散するのは与謝野晶子

ハッサンはアブドルの弟

母さんはアイドルの卵

愛がどこに消えてしまおうと
まずは愛してみよう

隣人を愛そう
思いがけない世界のために

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