会津の三泣き

「会津の三泣き」

            文 岡本明純(東北芸術工科大学)
            声 西尾まり

福島県会津若松市。
鶴ヶ城で有名なその町に私は引っ越してきた。
ここには「会津の三泣き」という言葉がある。
なんで三回泣くのだろう。初めはわからなかった。

でもすぐに、私は泣いた。
よそ者を突き放すような人々の冷たい態度。
これが三泣きの一つなのだろうか。
辛くて淋しくて、元いた場所に帰りたくて泣いた、

それからしばらくして。
少しずつだけど、いろんな人と話せるようになった。
会津には人見知りが多いという話もきいた。
気がついたら、私の周りには友達がたくさんいた。
真剣に悩みも聞いてくれて、私の気持ちになって泣いてくれた。
そんな友達をみて、私は泣いた。人の温かさに泣いてしまった。

数年後。私は、会津を離れることになった。
大好きな町。大好きな友達。
離れたくない。ずっとここにいたい。
私は泣いた。会津を離れたくなくて、泣いてしまった。
そういえば、泣いたのはこれが三度目だ。
あぁそうか、これが会津の三泣きなんだ。
この言葉は会津の人々の温かさを意味していたんだ。

またきっと戻ってこよう。そしたらまた泣いてしまいそうだ。
その温かさが懐かしくて、泣いてしまいそうだ。
会津はいつも、私を泣かせる。

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長州のかたへ

「長州のかたへ」

             文 白井彩織(東北芸術工科大学)
             声 遠藤守哉

前略、戊辰戦争から145年経ちますがいかがおすごしでしょうか?
こちら、会津は大きくかわりました。
「会津藩」という名前だったこの土地も
「若松県」を経て「会津若松市」となりました。
「長州」「山口」と聞いて、いやな顔をする人なんていません。
むしろ、遊びにきていただきたいのです。

春はサクラがキレイです。
そちらよりは、遅めに咲くので二度花見がたのしめます。
運がよければ雪化粧をしたサクラを見ることもできます。
夏は、会津盆地の緑の田んぼの上に青い空がひろがります。
猪苗代湖で泳いだり、磐梯山に登ったり、
アウトドアをお楽しみください。

秋はおいしいものがたくさんあります。
田んぼは黄金色になり、おいしいお米が実ります。
芋煮会も各地でおこなわれます。
冬は一面真っ白な世界へと変化します。
しんしんと降り積もる雪の幻想的な風景を眺め、
スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツも楽しみ、
温泉につかって芯まであたたまってください。

戊辰戦争から145年、会津はあなたを歓迎します。
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冬の会津から 1 鶴ヶ城

冬の会津から1  鶴ヶ城

             ストーリー 小室市太郎
                出演 大川泰樹

空気が、凛としています。

鶴ヶ城。
福島県会津若松市の象徴として知られるこの城は
600年以上の歴史を誇る、東北有数の名城です。

鶴ヶ城を訪ねると、多少の緊張を感じてしまうのは
厳しい冬の寒さのせいではなく
会津人の僕にとって、ここが
単なる観光地におさまらない、特別な場所だからかもしれません。

二の丸から、朱色の美しい廊下橋(ろうかばし)を渡り
高石垣に沿って歩くと、やがて名城はその勇姿を現します。
必見は、日本で唯一の赤瓦に葺きかえられた天守閣。
幕末、戊辰の頃の姿を、忠実に再現したものです。

でも、雪が瓦を隠してしまったら、ごめんなさい。

天守閣を仰ぎ見ながら、本丸の奥へ。
砂利を踏む足音が、すべての音を少しずつ消していきます。
立ち止まり、悠久の彼方へと想いをはせてみる。
今にも、会津の志士たちの咆哮が聞こえてくるようです。

ここは福島、会津若松。
過去と現在が交差する、古い歴史の街です。

会津若松観光公社http://www.tsurugajo.com/index.html

会津若松観光ナビhttp://www.aizukanko.com/

福島の旅http://www.tif.ne.jp/


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冬の会津から 3 酒屋

冬の会津から3  酒屋

          ストーリー 小室市太郎
             出演 大川泰樹

ここにまずい酒はないよ。
酒屋のおやじが無愛想に言った。

きっと、どれもお薦めということなのだろう。
ここは造り酒屋ではなく、ごく普通の、町の酒屋だ。

この無愛想、慣れない人は、気後れしてしまいそうなものだが
自分の目利きに間違いない、というおやじの自信
会津人特有の頑(かたくな)で、シャイな気質を読み取れば
どうってことはない。

店には会津の地酒がずらりと並ぶ。
奈良萬、会津娘、國権、飛露喜、会津中将、
宮泉、名倉山、まだある・・・。
都会ではお目にかかれない逸品もそろっている。
この酒屋、日本酒以外の酒をいっさい扱っていないところにも
おやじのこだわりが伺える。

選びかねている僕に、おやじが助け舟を出す。
これ、いいよ・・・。
無愛想が、一升瓶を突き出している。
それは、今年の新酒だった。冬は新酒の季節なのだ。

今年の一番を試してみる。たしかに、うまい。
振り返ると、だろ、というように、おやじが無言で頷いていた。

会津にはいい酒がある。
そして、会津の酒は、会津で飲む方がうまいと思う。

福島県酒造協同組合http://www.sake-fukushima.jp/

Save the 東北の酒http://save-sake.com/

植木屋酒店http://www.uekiya.net/
 *動画の写真を拝借しました。ありがとうございます


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