勝浦雅彦のリメンバーカンヌ⑤カンヌは投資か、ギャンブルか。

 写真①カンヌは投資?ギャンブル?何なのさ。

勝浦雅彦のリメンバーカンヌ⑤カンヌは投資か、ギャンブルか。

カンヌが終わって一カ月が過ぎました。
徐々に人々の言の葉にのぼることもなくなってきた「後の祭」。
そんな今だからこそ、コツコツ続いていくこのコラム。

今回からは、各部門で見たこと、感じたことなどを、
個人的見解で展開していきます。

時系列でいくとまずは、二日目に授賞式を迎えた、
プロモ&アクティベーション部門、PR部門、ダイレクト部門。

まず、これが予想外にものすごく面白かった。
(正直、今までフィルム以外あまり真剣に見ていなかったのかも
知れません)

日本でありがちなCM企画を見てから、
後付けで考えるようなプロモーションではなく、
コアアイディアからしっかりジャンプしているビックアイディアの数々。

フィルムで得られる感動とはまたひと味違った、
人の心の動かし方を考える楽しさを感じました。

今更ながらそう感じてしまう、ということは知らないうちに、
ふだんの自分の仕事を狭い定義で捉えてしまっていたんだな、
と、反省しきりでした。
(カンヌに着いてから反省ばかりしています)

さて、これらのカテゴリー。なかでもダイレクト部門が良かった。

よーく見ると、ものすごい大ネタとものすごい小ネタが同じ土俵で
戦っているのも面白い。

コニシキと舞の海が戦う大相撲のようです。

例えば、話がデカい、コニシキネタ。

○American Express
「Small Business Gets an Official Day」(Promo & Activation、Direct・GP)

簡単にいえば、11月26日の土曜日を「スモールビジネスサタデー」
という記念日にしてしまい、
その日に、協賛する街の小売店において、
カードで買い物するとカード会社からキャッシュバックが受けられる、
という仕組み。

これによって、大型店との競争にあえぐ、
多くの街の小売店、「スモールビジネス」を支援できます。

プロモーションをFacebookとTwitterを中心としたソーシャルメディアに集中させ、
地域コミュニティーの個々の人々たちと
エンゲージメントを高めることをキャンペーンの根幹に据えています。

この草の根運動が広がって、
各州知事や、オバマ大統領までがこのキャンペーンを支持する声明を
発表したというお話。

 写真②Small Business Gets an Official Day

ソーシャルという視点を入れることで、
広告キャンペーンがその国自体に幸福をもたらす、
と認識された、いやはやデカいストーリーでした。

日本でもシャッター商店街に代表される、街の小売店の危機は顕著なので、
価格競争やサービス競争とはまた違った軸で、それらを救う方法はあるのかも。
(よく考えれば、流行りの「街コン」だってソーシャル要素がありますもんね)

一方、例えば、舞の海的小ネタ。

○HELLMANN’S
「 RECIPE RECEIPT」(Direct Lions・Silver)

これは発見!

マヨネーズの広告で、
スーパーである一定の食材を買うと、
「その食材とマヨネーズを使うレシピ」
をレシート上で教えてくれるというもの。

いわゆる「ジェネレーターもの」で、
もしかしたら、技術的には簡単なことかもしれないのですが、
スタンプカードやスピードくじを店頭で使うよりよっぽど気がきいています。

 写真③RECIPE RECEIPT

そして、いちばんガツンときたのはこちら。

○ALS FOUNDATION
「I HAVE ALREADY DIED」(Direct Lions・Gold)

ALS FOUNDATION(オランダ)の「死んでから発表される広告」。
そう、広告に出てくるのは死者なんです。
ついに広告は死者を出演者に起用してしまったんです。

ALSという難病にかかったモデルたちが、患者や研究のための寄付を訴える。
既にそのモデルはこの世におらず、「Not for me. I have already died.」
というメッセージが胸を打ちます。

これに出演したモデルさんたちは、どういった心境だったんでしょう。
死を覚悟して、なお、後世のためにカメラに語りかけたときの気持ち・・・。

読後感がメチャクチャあるキャンペーンでした。

 写真④ALS

そんな感じで、しょっぱなから刺激を受けまくったその夜、
ブロンズを受賞した「東北六魂祭」チームの方々と食事。

その達成感のお相伴にあずかって、
夜は更けていったのでした。

ホテルが遠いので帰り道が憂鬱になるのが、タマに傷でしたが・・・。


写真⑤色んな会社の方々と食事しましょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それにしても、カンヌは部門が増えたため、
似通ったカテゴリーが多いです。

実際問題、プロモとPRとダイレクトって根本的に何が違うの?
って疑問も尽きないし、
同じものが複数部門でライオンを取っていくケースも多い。

みんなそれを知っているから、
コアアイディアの説明の仕方を変えて、
ギャンブル的に出来るだけ多くの部門に「張る」わけです。

しかも、カンヌをはじめとする海外賞は、出品費用がとにかく高い。
参加はもとより、出品は投資、といっても過言ではありません。
事務局側もそこで稼ぎたい、という意図も当然見えます。
カンヌは文化事業ではなく、立派なビジネスですから。

なので、日本でも地方のお金のないクライアントを手がけていると、
いいものが出来ても出品に至らない、というケースが多々あります。
とても地方の制作費では、何十万というバッファは無いからです。

ちなみに僕はアドフェスに出品した時は補助が得られなかったので
自費で応募しました。
結果が出たので、会社費用でカンヌは出品させてもらえましたが、
自費でのカンヌ応募は、額が違うのでほぼ無理です。
それぐらいカンヌは応募するだけでも大変です。

ただ逆に、
これは報道の方に聞いた話ですが、
あまりに何でもかんでも片っぱしから複数部門に出すと、
審査員同志の横のつながりもあるので、
それはそれで心象が悪くなったりもするようです。

アドフェスに行ったときに、
とにかくプレス、デザイン、360°、PR・・・と
張りまくっている中国のメーカーの広告を見かけました。
カンヌでもその広告は同じように張りまくられていましたが、
両広告祭でまったく受賞していませんでした。

やっぱり、出せばいいというものでもありません。
水準以上のモノをつくり上げて、
初めて「どこに張るか」という戦略になるのだと思います。

自戒もこめて。

(つづく)

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勝浦雅彦のリメンバーカンヌ④ 表と裏からカンヌを見れば

 写真① セミナー会場。いつも混雑しています。

さてさて、
前置きがあまりに長い!という関係各所からのお言葉を頂いた、
3章までを経て、カンヌライオンズが開幕しました。

まず、カンヌライオンズにおける「表」のアクティビティは、
こんな構成です。

<表カンヌ・アクティビティ>

①スクリーニング

フィルム、フィルムクラフトなどの「作品映像そのもの」、
もしくはPR、チタニウムなど「応募ビデオ」が
存在するカテゴリーのビデオが、会場内のいくつかのシアターで、
テレビ番組表のように流されています。

②展示

プリントなどの実物、
もしくは他カテゴリーで「プレゼンボード」を伴うものの
ボードが展示されています。
(どの広告祭でも、ちょっと地味なコーナーになってしまうのは、
なぜなんでしょう?)

③セミナー

近年、急激に充実したのがこのセミナー。
8年前に行ったときは、ほぼスクリーニングの添え物でしたが、
今ではこっちがメインという声も。
世界的なエージェンシー、クリエーティブエージェンシーが、
その威信をかけてセミナーによって自社のプレゼンテーションを行います。
業界内の大物(今年はダン・ワイデンが来たり)や、
タレント(今年は、サッカーのロナウド、クリントン元大統領など)が
花をそえています。

④ワークショップ

ここ2、3年で拡充されたのが、講演ではなく、
講義形式のワークショップ。
少人数で構成され、自分の意見を言ったり、
書いたりする行為が加わります。
これは英語が出来る人、もしくはそういう人と一緒に参加しないと
キツいでしょう。

⑤授賞式

会期内の夜に行われる、カンヌライオンズのクライマックス。
各カテゴリーが、1日3つづつくらいの割合で、毎日授賞式が行われます。
(今回は、最終日の前日、前々日は無し)
ここで登壇することが、参加者たちの夢。
まさに、カンヌのプレステージ戦略の真骨頂です。

 写真② カンヌのシアター。大小たくさんあります。

・・・と、ほぼこの5つのどれかに参加することになります。
すべてをこなすことは不可能なので、おすすめは、
見たいセミナーを決めておいて、
その空き時間にスクリーニング、ワークショップを入れていくことです。
ただし、カンヌははっきり言って、
キャパシティ以上の人数を登録させているので、
セミナーも、授賞式も、実は参加者全員が入る事ができません。

人気のあるセミナーには、30分~1時間くらいの待ち時間が必要となります。
さらに、「場所取り」も厳しく規制されており、
荷物を置こうとすると、係員から詰めなさい、と諭されます。
この待ち時間が、けっこうなデッドタイムとなるので、
スケジュールを組む上で、考慮しておいたほうがいいでしょう。

 写真③ 誰と、ご飯を食べるか、それが問題だ。

さて、ここで「リアルカンヌをお届けする」という当コラムの目的にのっとり、
「裏カンヌ」つまり、会場以外でのアクティビティをご紹介しましょう。

こっちがメインという困った人もいますが、それも含めて、
ダイバーシティを尊重するカンヌです。うーん、奥が深い。

<裏カンヌ・アクティビティ>

①カンヌご飯

カンヌでは、「誰とご飯を食べるか」がものすごく重要です。

カンヌというリゾート地で行われているがゆえに、
人々の心はちょっと開放的。
ここで、ふだんから接している、
同じ会社の人々とだけつるむのは、相当もったいない。

僕はとにかく他社のみなさんと食事するように心がけました。

東京で、制作会社さんはあっても、
他の広告会社のみなさんと食事する機会なんてそうそうないですが、
カンヌの良さは、日本人同士わりとすぐ仲良くなって
気軽に食事ができることです。

しかも、世界の場に立つと
日本での立場や年次もだいぶフラットになるので、
非常に心地よい雰囲気で過ごせます。
(僕が図々しいだけかもしれませんが)

ここでのつながりは、後々あなたを助けてくれるかもしれません。

また、英語が出来る方は、
海外のエージェンシーの方々と積極的に話すとよいでしょう。

しょせん、人間はアナログなので「会ったことがある」「知っている」
に勝るものはありません。もしかしたら、引き抜きも!?

実際に、カンヌは人材の見本市で、
至る所でヘッド・ハンティングが行われています(これは後述します)。

②カンヌ・パーティー

僕が行った8年前に比べると、激減した印象がありますが、
カンヌといえばパーティーです。

今回は、日本なら葵さんやスプーンさんなどが、
マンションのフロアをいくつか借り切り、国内外の人々を招き入れて、
お酒や食事をふるまっていました。

そんな感じで、
いろんな国の制作会社やコーディネーター会社がパーティーを、
ホテルの一室やアパートメントで昼夜問わず開催しており、
送迎バスを循環させているところもあります。

こういったパーティーの開催情報も、
カンヌで知り合った人々からもたらされることが多いので、
大胆に社交的になったほうがよいでしょう。

ちなみに僕は、最初に行ったカンヌで、
スペインの会社のナイトパーティーでデジカメを盗まれました。
おかげで、報告会用に撮りだめた画像を失い、
相当たいへんな思いをしました。

羽目をはずしても、そこが海外であることを忘れずに・・・。

③エスケープ・カンヌ

読んで字のごとく、カンヌを脱出して遊びに行ってしまうことです。

近場なら、モナコやニース。遠出する人は、
パリやイタリアに行ってしまい、
えらい人たちになると、ほぼ会場にいないで最終日の授賞式にだけ、
そっと参加している人も。

フル参加なら、一日くらいこういう日を入れてもいいと思いますが、
目的を忘れないようにしたいものです。

④カンヌ・ビーチ

カンヌはコートダジュールの、美しい海辺の街。
エスケープはしないが、のんびりビーチで休む人も多いようです。

ビーチにはそれなりの割合で、トップレスの女性がいますが、
あけっぴろげな欧米人から感じるいやらしさは、ゼロです。
あくまで個人的な感想ですが。

 写真④ カンヌのビーチ。砂が激アツです。

・・・と、表と裏のアクティビティをご紹介しましたが、

カンヌライオンズに対して何を求めるのか?

「受賞」か「研鑽」か「交流」か「売り込み」か「バカンス」か…。

によって、その行動はまるで変わっていきます。

さて、次回からは、独断と私見と感情論で、
その中身に迫っていきます。

(つづく)

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勝浦雅彦のリメンバーカンヌ ③ カンヌの外れで「しまった」と叫ぶ

 写真① 泊ったホテル。遠かった。プールがありました。入らなかったけど

さて、バスはカンヌの中心地に到着しました。
開催日の前日、人もまだまばらです。

ここからカンヌライオンズ開催地である
パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ
( Palais des Festivals et des Congrès)まではすぐそこです。

すぐさま行ってみたい気持ちをおさえて、
スーツケースを抱えているのでとりあえず、
ホテルに向かうことにしました。

ここでふと頭をよぎる、
ホテル予約をした時から微かに抱えていた不安。

「ホテルは会場からやや離れています」
という旅行会社のお姉さんの言葉。

離れていると言ったってそこまで遠くないだろう・・・。
そうタカをくくった僕が愚かでした。

タクシーに乗って、行き先のホテルを告げる。

タクシーは会場に向かって右手の海岸線をひた走ります。

元来歩くのが好きな僕は、
「毎朝、海岸沿いを歩いて会場に行くなんて優雅じゃないか・・・」
などと加山雄三ばりに呑気なことを考えていました。

しかし、タクシーは走る、走る!
いっこうに止まる気配がありません。
海岸線をモンデュー(Mandelieu)という地域まで走り、
ようやく街中へ。
一瞬、どこか遠くへ連れ去られるんじゃないか、
という危機感すら覚えました。

結局、20分近く走ってホテルへ着きました。
・・・歩けるわけない。
着いてすぐ発覚した誤算に焦る僕。
加山雄三計画は一瞬にして崩壊です。

 写真② バスの時刻表。本数少なっ!

気を取り直して、
部屋に荷物を置いて再び中心部に向かうことにしました。
フロントで聞くと、中心部まではバスが出ている様子。

バス亭を探して時刻表を見ると・・・、
一時間に2、3本しかない!しかも、20時台が終バス!

はい、毎日帰りはタクシー確定です。
二つ目の誤算に打ちひしがれる僕。

思い起こせばかつてヤングカンヌで来た時は、
中心部の鉄道駅の近くの
モノプリ(MONOPRIX)というスーパーの隣のホテルで、
会場まで歩いて5、6分くらい。

その感覚で、カンヌのホテルは会場に近いもの、
と勝手に思い込んでいた節がありました。
(直前に予約したので、取れなかったという事情もありますが)

これからカンヌに自力で行かれる方は、
絶対に会場に近いホテル、もしくはアパートメントを
おすすめします。

さて、初日は20時間以上の移動の疲労もあり、
ホテルに帰ってさっさと寝てしまいました。

 写真③ カンヌで唯一まともなスーパーモノプリ。コンビニなどは無いので重宝します

翌朝、ホテルの周囲の海岸線を軽くジョギング。
コートダジュールは湿気が少なく、汗をかいても
ベタッとしません。これは気持ちいい。

海外出張でも必ずジョギングシューズを持っていく僕は、
この「現地を自分の足で走る」という行為をものすごく
大事にしています。
これにより、その国の空気と自分のリズムをチューニングする
わけです。

 写真④ 会場前。いよいよ開幕です

ちょっとテンションが上がったところで、
バスに揺られて(ちなみに片道1ユーロ)会場に到着、
日本で事前に情報交換していたフロンテッジの方々と
待ち合わせ。

英語が出来るクリエーティブ秘書の八木さんに、
会場登録の手伝いをしてもらおうという魂胆です。

お決まりの会場前で写真をパチリとしたあと、
いざ、登録というときに、重大なことを思い出しました。

「あれ、確か登録には、パスポートが必要・・・?」

はい、三つ目の誤算です。

かくしてまたもやバスに乗って、
遠いホテルまで戻って、また会場に帰ってくる、
という心が折れそうなタイムロスをこうむりました。

ホントにホテルは会場に近いほうがいいです。
・・・ホントに、ホントに。

結局、会場登録を自力でやることになり、
つつがなく30万近い登録費を払って、
パスをもらいました。
(事前にWEBでもできるようなので、そっちのほうが楽かも)

パスをもらった後に、ドサッとプログラムとか、
冊子とかをもらうので、
ホテルが近ければ荷物を置きに帰ることもできます。

だからホテルは会場に・・・、もういいか。

何度「しまった」と叫んだかわからない、
登録までの道のりを経て、
僕のカンヌは始まったのでした。

(つづく)

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勝浦雅彦のリメンバーカンヌ ② カンヌまで

 写真① こんな椅子でみんな寝ています

第二章「カンヌまで」

さて、カンヌへ入るには日本からニースへの直行便はほとんどないので、
パリ、フランクフルト、チューリッヒ、アムステルダムなど、
たいがいどこかの空港を経由することになります。

僕が選んだのは、エミレーツ航空のドバイ経由便。
なぜならいちばん安かったから。
そう、お金と時間を秤にかけりゃ、お金が重たい庶民の渡世。

しかしこれが・・・、キツかった!

所要時間は約22時間。

○成田ードバイ 10時間半

○ドバイでのトランジット 5時間半

○ドバイーニース 6時間半

ドバイまでは淡々と機内生活ができましたが、
早朝のトランジット到着で空港の外に出る気にも
なれず、ずっと椅子で寝ていました。

トランジットの多い空港なので、
寝そべる事ができる椅子がいっぱい置かれており、
ずらっとみんな健康ランドの仮眠室のように眠っています。

それは異なる人種、国の人々が「同じ屋根の下」で眠る、
感動的な光景・・・のわけはなく、
ざわざわ騒がしくて疲れがかえってたまる一方だったりしました。

最悪だったのが、ニースまでの便で隣あわせた
アラブ系の男性が狭い座席スペースを浸食&圧迫してきて、
さらに前の座席に親子がこれまたガンガンリクライニングしてきて、
「早く降ろしてくれ」状態に陥りました。

しかも、機内システムがオンデマンドはない上に、
自分のモニターが故障していて映画が楽しめませんでした。

機内食の時間、ヒンズー教の人は一般とは違う時間帯と
メニューが供されるシステムになっています。
その浸食アラブ人は美味しそうにそれを食べていました。
・・・僕の肘掛けを奪い取って。

「汝のナントカを愛せ」そう、何度つぶやいたことか。

 写真② ニース空港。暑い

そしてようやく、サマータイムで日本と−7時間の、
フランス・ニースに到着です。
この時期、夏の日差しきらめくニース空港にいる人の大部分は、
ライオンズ参加と思っていいでしょう。

僕はこの空港で約50,000円を両替し、
結果、それで期間中こと足りました。
カンヌではたいがいカードで買い物ができるし、
会場登録費もカードで払えます。

ニースからカンヌまではシャトル便が約1,600円で出ています。

もっと時間がかかるけど安い公営バスも走っているようでしたが、
スーツケースがあるのでシャトル便を選択。

バスに揺られること約40分。
ふと気づくとあの浸食アラブ人も同じバスに乗っています。
よく寝ただけあって、元気そうです。

バスは街の中心部に到着。
へとへとになりながら、ついに庶民は、
二度目のカンヌの地を踏んだのでした。(つづく)


 写真③ カンヌですよ!

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勝浦雅彦のリメンバーカンヌ ① 出発準備

どうも勝浦です。一週間前に、
8年ぶり二度目のカンヌライオンズから帰ってきました。

カンヌ広告祭の「広告」が取れ、
部門が16部門と拡大し、
ますます人に説明しづらい巨大な祭典となったカンヌ。

世界各国から一万人が集い、
コミュニケーションのクリエイティビティを競いあう
プレステージなフェスティバル。

僕もまた、
俗にいう「カンヌ病」「カンヌ熱」とはやはり、無縁では
いられずあの華やかな舞台を見ながら感じた
驚き、発見、絶望、悔しさ、希望・・・そんなものを
徒然なるままに書いてみようと思います。

第一章「出発準備」篇

いきなりショボい話ですが、カンヌはお金がかかります。
はっきりいって、カンヌは一般ピーポーには贅沢品です。

主なカンヌライオンズの参加方法は二つ。

シャバライオン(会社払いで研修目的で参加)
ジバライオン (自腹で自らの研鑽のために参加)

で、シャバライオンの場合はたいがい、どこかの広告団体が
主催している視察団に参加することになります。

ジバライオンの場合は自分でホテルを手配し、
なおかつ会場での参加登録も自分でやることになります。

料金はだいたいこんな感じ。

旅費+宿泊費+会場登録料(これが約30万!)

28歳以下は「ヤング区分」で、会場での登録料が若干安くなります。

        オトナ    ヤング(28歳以下)

ツアー参加   80万    70万

自力手配    60万    50万

そうです、カンヌは高いんです。
たまに自腹で行くけど、自力での手配に挫折して
ツアー参加する人がいますが、
中古の車一台が買えるくらいの額を払うことになります。

僕はオトナで自費参加だったので、
旅行代理店を通じて、
ギリギリまで安い航空券とホテルを探し続けました。

その結果、エミレーツ航空のドバイ経由が
いちばん安いという結論に達しました。

ホテルは会場から「若干離れているらしい」
ところしか取れませんでしたが無事に決定。
直前となるとホントに価格が何倍にも高騰して取れなくなるので
要注意です。

トータル予算は、なんと55万に収まりました。
これは後々、色んなところで驚かれましたが、
この安さと引き換えに散々な目にあったりもするのでした・・・。

とはいえ、さあ出発です!

(つづく)

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