岩手の緑について

岩手の緑について

           ストーリー 岡村雅子
              出演 大川泰樹

私は、ロバート・バーンズ。
スコットランドの国民的詩人だが
天国の休暇を利用してふるさとスコットランドに帰るつもりが
なぜか岩手に到着してしまった。

それにしても岩手のこのあたり
つまり盛岡から宮古へ抜ける国道106号線の風景は
どうしてこんなにスコットランドに似ているのだろうか。
ここは私のふるさと同様、緑にあふれている。

いや、いやしくも私は詩人なのだから
緑というひと言で片付けるのは怠慢というものだろう。
岩手の山々は世界中の緑という色彩をすべて集めた絵のように
或いはゴブラン織りの刺繍のように
木々の緑が折り重なり、盛り上がっているのだ。

オウムの羽根のようなパロットグリーン、
ワサビの根のようなサーフグリーン。
いやいや、ここは日本なのだから日本語にしよう。
白い茶碗に汲みだした緑茶のようなひわ色。
芽吹いたばかりの草のような萌葱色。
説明無用の柳葉色。苔色、松葉色、青竹色。
若草色に若葉色…
岩手の緑の美しさにはさすがの私のペンも及ばない。

岩手は私の故郷スコットランド同様、冬が長い。
枝をおおった雪が溶ける春から夏が終わるまでが本当に短い。
だからきっと、岩手の山の緑は春の芽吹きの喜びの色なのだ。
短い夏を謳歌するエネルギーの色なのだ。

美しい緑の岩手に
私は天国に戻ったら一編の詩を捧げたい。
それはきっとこんな言葉ではじまる。

東北へ行こう

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津波に勝ったクジラ

津波に勝ったクジラ

           ストーリー 岡村雅子
              出演 坂東工

岩手県盛岡から
緑の山の中をクルマで駆け抜けると、
海沿いに山田町が見えてくる。
波もなくひたすら静かな湾を背にすると、
目にとびこんでくるのは、だだっ広い土地と、
家があったはずの四角い区画。

地面に落ちている茶碗の破片を見ると、
ここは人々が普通に食卓を囲んでいたんだと思いだす。
3月11日。津波はみんなの生活を
文字通り跡形もなく流してしまった。

そんななか、ぽつんと残った白い建物がある。
「鯨と海の科学館」だ。
足を踏み入れると巨大な白い物体が見える。
17.6メートル。世界最大級のマッコウクジラの骨の標本が、
天井から5メートルの高さにつるされたまま残っているのだ。

山田町はかつて鯨の町だった。
その標本は、1987年商業捕鯨の最後に捕獲された鯨の骨格を
3年間砂浜に埋めて油を抜き、
地元の子供たちが掘り返して復元したものだ。
十数年前にオカに上がった鯨は、
今回10メートル超えたと言われる津波を見事に泳ぎ切ったのだ。

津波を乗り越えた鯨は山田町の復興のシンボルになり
その強さと生命力でみんなを勇気づけている。

岩手県山田町HPhttp://www.town.yamada.iwate.jp/

岩手県山田町観光協会HPhttp://yamada-kankou.jp/

鯨と海の科学館http://www.town.yamada.iwate.jp/kujirakan/

鯨と海の科学館公式ブログhttp://yamada-kujira.seesaa.net/

山田名物かき小屋再開中http://yamada-kankou.jp/info/2011-10_kakigoya.html


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