小さな手しごと


出演者情報:岡田優:https://www.facebook.com/masaru.okada2

小さな手しごと

          文 岩井巽(東北芸術工科大学)
          声 岡田優

山形の北部、庄内地方は果てしない平野だった。
出羽三山が、晴れた6月の水田に写り込み、
その水田に点在する農家がまるで小さな島のように見える。

庄内地方の手仕事に「ばんどり」という藁細工がある。
いま作り手は80歳のおじいちゃん只一人だ。

農具小屋の屋根裏部屋から、窮屈そうな階段を降りて
おじいちゃんが出てきた。ここがおじいちゃんの工房だ。

「ばんどり」はその昔、
女が重い荷物を背負って運ぶときに背中を痛めないようにと
男が編んだ藁の背当てのことだ。
羽根を広げたムササビのような独特な形と、
藁に編み込まれた色とりどりの布切れが華やかで
嫁入りする娘のために、父親は三日三晩かけて
お洒落に編んだのだそうだ。

藁はコンバインで粉砕されてしまういま、
わざわざ長い稲を取り寄せないと「ばんどり」はつくれない。
それでも「ばんどり」を作り続けるおじいちゃんの手は、力強かった。

それから半年が過ぎ、豪雪の庄内地方は雪に埋もれた。
“農家の冬の手しごと”として営まれてきた藁細工は、
あと何回雪解けを迎えることができるだろうか。

東北へ行こう。     

1.html

庄内のばんどりコレクション:http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/86556

やまがた庄内観光サイト:http://www.mokkedano.net
            

庄内エリア:http://www.mokkedano.net/

最上エリア:http://kanko-mogami.jp/

村山エリア:http://www.nihonnotabi.com/yamagata/murayama

置賜エリア:http://oki-tama.jp/

山形温泉めぐり:http://www.e-yamagata.com/top/onsen.htm

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だって、島だから



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だって、島だから

    ストーリー 小松大知(東北芸術工科大学)
       出演 岡田優

島の人が、見ず知らずの人を家にあげてもてなすなんて
バラエティ番組や映画の中だけだと思っていた。

ここは「ひょっこりひょうたん島」のモデルにもなった、
宮城県石巻市にある田代島。
別名は「猫の島」。人口よりも猫の数の方が多く、
島の中に猫の神様を祭っているぐらい。

石巻港からは定期船で渡る。
誰も居ない小さな漁港。早速、一匹の野良猫がお出迎え。
寂しさよりも、なんだか気の抜けたゆるさが全身を覆う。

田代島は、歩いて2~3時間で島を巡ることができる。
宮城県なのに、本土とは違って、どこか独特な南国系の植物。
木々の切れ目からは海に反射した光が差し込み、遠くで波の音が聞こえる。
人気のない道の上では、猫が日向ぼっこをしている。
こんなにも夏らしい夏を、初めて生きた気がした。

畑へ続く細い道で、ごみ焼き中のおばあちゃんに挨拶。
「アイスあっから、うちさ上がらいん」
軽々と、見ず知らずの私を誘う。
突然すぎて、こっちが動揺してしまった。

海の見える茶の間でイチゴのシャーベット。
隣にはおじいさんと仏壇。懐かしくて、とても居心地が良い。

それから饅頭、スイカ、お手製の五目ご飯。
自家製キュウリのお漬け物とラッキョウ。
本当に美味しくて、優しくて、心地よくて。
申し訳ないなと思いつつも、
東北にこんな島があることが嬉しくてたまらなかった。

なんで見ず知らずの人に、こんなにも優しいのですか?
おじいさんは恥ずかしそうに、笑って言った。
「だって、島だからね」

東北へ行こう

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思い出の故郷



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思い出の故郷
       
      ストーリー 萩原弘章(東北芸術工科大学)
         出演 岡田優

子供の頃は、よく夏になると祖父母の家に行っていた。
僕にとっては故郷といえばそこだった。
最近はほとんど帰らない。
あの日からも数える程しか帰っていない。

それでも、今もはっきりと憶えている。
狭く入り組んだ路地、高く苔むした石塀、揺れる陽炎、
どこに居ても磯の香りがしていた。
いざ帰ろうとすると、もと来た道が分からない。
目に涙をためて、家を探して歩き回る。
しばらくすると、遠くから父が私の名前を呼びながら、
こちらに駆けて来た姿をおぼろげにも憶えている。
迷ったのは自分なのに、迎えに来た父に文句ばかり言っていた。
父の背におぶさって、少し低くなった石塀を睨んで帰った。

あの塀も、今はもうない。
そんな景色を見た夏は、少し寒かった。
もう、しばらくあそこへは帰っていない。帰れていない。

「あの辺りから、ようやく蛙の声が聞こえるようになった」と父が言う。
故郷は、もうすぐ帰ってくるかもしれない。

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陸前高田かき小屋広田湾:
http://www.3riku.jp/kanko/new/kakigoya/kakigoya.html
大船渡市漁師のかき小屋:http://www.kakigoya.net/company.html
復興かき小屋唐桑番屋:http://www.karakuwa.jp/banya/
松島町さかな市場:http://www.sakana-ichiba.co.jp
かき小屋渡波(石巻):http://yakigaki.com
かき小屋仙台港:http://kakigoya.jp

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星の降る町

「ほしのふるまち」

          ストーリー 村上正平(東北芸術工科大学)
             出演 岡田優

僕の住んでいるまちは、ほしがふる。
テレビとかでよく、「星が降ってるようです」なんていってるけど
そんなもんじゃない。
ほんとにほしがふっている。
ただただほしがふっている。

僕の住んでいるまちは、周りにはコンビニも街灯もなんにもない。
カエルがゲロゲロないている声しか聞こえない。
都会のネオン街や喧騒と比べたら、
田舎の夜は真っ暗闇で不便でどうしようもないけれど、
それがほしをふらせている。
ただただほしをふらせている。

みんな空はつながっているというけれど、
でもここにしかない空もある。

東北へ行こう。


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ぼくはやま

「ぼくは、やま。」

       ストーリー 鍬崎純也(東北芸術工科大学)
          出演 岡田優

ぼくは、やま。ずっとまえからここにいる。
ひとが東へやってきた、ずっとまえからここにいる。

ぼくは、やま。ずっとまえからここにいる。
傾く月に昇る月、ずっとまえからここにいる。

ぼくは、やま。ずっとまえからここにいる。
神が生まれて仏が訪れ、ずっとまえからここにいる。

ぼくは、やま。ずっとまえからここにいる。
冬が始まり夏が始まり、ずっとまえからここにいる。

ぼくは、やま。ずっとまえからここにいる。
ヒトが生まれて土へと還り、ずっとまえからここにいる。

ぼくは、やま。ずっとまえからここにいる。
生きているもの、そうでないもの、めぐりめぐってここにいる。

ぼくは、やま。ずっとまえからここにいる。

ぼくは、やま。


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東北の山100選http://sakuramaya.fc2web.com/east/touhoku/

東北の山遊びhttp://yama-sone.at.webry.info/

東北・山の温泉ガイドhttp://www.mountaintrad.co.jp/tohoku/arealist.html







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小さなハル

「ちいさなハル・盛岡」

      ストーリー 山中貴裕
         出演 岡田優

国の訛りが恥ずかしくて、
バイト先ではあまり話をしない。
もっとも、小さな中華レストランの
皿洗いの仕事だから、
口を開く機会はそもそも少ない。
ラストオーダーが11時で、
店が閉まるのが11時半。
そこから掃除と後始末を済ませて、
タイムカードを押して外へ出ると、
もう0時を過ぎている。
薄いダウンジャケットのポケットに
両手をつっこんで、
真っ暗な商店街を早足で歩いて帰る。
冬だと、息が白く凍る。

そんな時、いつも思い出すのは、
ふるさと盛岡の厳しい寒さと
飼い犬だったハルのことだ。
明治橋の下に捨てられていた
ハルを連れて帰った俺に、父はひとこと
「弟ができたな」と笑った。
くんくんと腕の中でさびしそうに鳴く、
ぬくぬくとあたたかく、やわらかい小さな命は、
その日から、俺のたった一人の兄弟になった。
薄茶色の背中に鼻をすりよせると、
ひだまりの匂いがした。

19の冬、夢を持ってふるさとを出た。
夢が俺を、ひとりぼっちにした。
アパートの鍵をあける時、いつも、
部屋の中にハルがいるような気がする。

・・・もうすぐ春。花も咲く。
東北へ、帰ろう。

岩手の旅http://www.iwatetabi.jp/

岩手県産 味・技 通信http://www.iwatekensan.co.jp/

盛岡観光情報http://www.odette.or.jp/citykankou/frame/frame.html

盛岡タウン情報http://www.morioka.ne.jp/


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ハナサケニッポン

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