冬の朝
ストーリー 有我奈々子 (東北芸術工科大学)
出演 清水理沙
静かな冬の朝、私は目を覚ました。
布団から出ると空気はしんと冷えていた。
太陽はまだ出ていない。障子は青く染まっている。
祖母は早起きだ。
蛍光灯が一つだけついた、まだ暗い台所に立っている。
冷たい水でお米を研ぎながら
「外見てみ」と言って白い息を吐く。
急いで玄関を開ける。鋭い寒さを感じた。
見渡す限りの青く白い雪。何の音も聞こえない。
人生6回目の雪だった。
冷えた体に祖母は大きなちゃんちゃんこを着せてくれた。
そして甘酒を私の湯飲みに注いでくれるのだ。
この甘酒が私は大好きだ。
冬になると必ずストーブの上にたっぷりの甘酒が入った大鍋が鎮座する。
「あんたが好きだからねえ」と祖母が作るのは
特別甘い甘い、甘酒。
それを飲んでるうちに私はうとうとと眠くなって、
こたつにすっぽりと包まれて寝てしまう。
お昼には兄と雪遊びをしなくちゃ、そう思いながら。
厳しく寒い冬を、積もる雪を毎年嬉しく思うのは、
祖母のおかげだと、今思う。
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