東北へ行った

山形へ行ってきました。
まだ梅雨明けをしておらず、しとしと降る雨がやがて霧雨になり
盆地をぐるりと囲む山々も遠くは見えず
すぐそこの山には霧が降りていました。
最高気温23℃という涼しさです。

学生の皆さんが課題で書いてくれた「東北へ行こう」の発表が
ありました。
たくさんの原稿のなかから選ばれたものが20本ほどあって、
まずそのなかから10本を制作しています。
こちらから聴けます。
http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/tohoku

そして、夜は来てくれた学生の皆さんと
行きつけの居酒屋に肉を持ち込んでスキヤキです。
涼しくて助かりました。
さすが山形の気象は山形牛に味方しますね(なかやま)

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夏の須賀川

「夏の須賀川」

       ストーリー 関根寿大(東北芸術工科大学)
          出演 大川泰樹

福島県須賀川市。僕が生まれ育った町だ。
福島のほぼ中央に位置し人口は8万人ほどしかいない。
主な特産物はきゅうりだ。もとい、きゅうりしかない。
夏になると最盛期を迎え、
灼熱のビニールハウスの中できゅうりはぐんぐん大きくなって
朝昼晩と収穫しないと間に合わない。

子供の頃、
収穫に行く祖母について畑に行った。
むしむしする暑さ。土と干からびた草の匂い。
近くの空港から真っ青な空へ飛んでいく大きな飛行機。
そのうち仕事を終えた両親も収穫に加わる。

やっときゅうりの収穫を終える頃には、
僕はとっくに飽きてしまっている。
歩いてきた道を軽トラックの荷台に乗って帰る。
周りはもう暗く、風も涼しくなった。
外灯に反射して田んぼが光り、暗がりには蛍が飛ぶ。
家に帰ったら、きっと父は
プロ野球中継を見ながらビールをのんで
母が作ったきゅうりの浅漬けをつまみにするのだ。

思い出のなかで、須賀川はいつも夏の匂いがする。
東北へ行こう


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会津の三泣き

「会津の三泣き」

            文 岡本明純(東北芸術工科大学)
            声 西尾まり

福島県会津若松市。
鶴ヶ城で有名なその町に私は引っ越してきた。
ここには「会津の三泣き」という言葉がある。
なんで三回泣くのだろう。初めはわからなかった。

でもすぐに、私は泣いた。
よそ者を突き放すような人々の冷たい態度。
これが三泣きの一つなのだろうか。
辛くて淋しくて、元いた場所に帰りたくて泣いた、

それからしばらくして。
少しずつだけど、いろんな人と話せるようになった。
会津には人見知りが多いという話もきいた。
気がついたら、私の周りには友達がたくさんいた。
真剣に悩みも聞いてくれて、私の気持ちになって泣いてくれた。
そんな友達をみて、私は泣いた。人の温かさに泣いてしまった。

数年後。私は、会津を離れることになった。
大好きな町。大好きな友達。
離れたくない。ずっとここにいたい。
私は泣いた。会津を離れたくなくて、泣いてしまった。
そういえば、泣いたのはこれが三度目だ。
あぁそうか、これが会津の三泣きなんだ。
この言葉は会津の人々の温かさを意味していたんだ。

またきっと戻ってこよう。そしたらまた泣いてしまいそうだ。
その温かさが懐かしくて、泣いてしまいそうだ。
会津はいつも、私を泣かせる。

東北へ行こう


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なにもない、秋田

「なにもない、秋田」

         文 阿部千里(東北芸術工科大学)
         声 大川泰樹

東北には何もない。
秋田県という土地にはなにもない。

高いビルもなければ、うるさい音もない。
満員の電車はほとんどなく、
二両編成の短いディーゼル車が一時間に一本、
だだっ広い田んぼや畑、
古い農家や流れる雲を車窓に映しながらゆっくり走っている。

自転車にのれば、
風に吹かれてぐしゃぐしゃになった髪の毛に
草のにおいが移る。
日照時間が少ない県だと言われるくせに、夏はかんかんに暑く、
逃げ水がそこここに現れる。

冬にはたくさんの雪が降り、辺り一面真っ白だ。
なにもかも雪で覆われると
何もない秋田がさらにまっさらになる。

秋田のことを聞かれると
「何もないところだよ。」と答えることにしている。
まわりの人には「そんなに謙遜するな」と言われるが、
そうではない。そうではないのだ。

ここには何もない。
高いビルも混み合う道路も満員電車もない。
うるさい音がない。せかせか歩く人もいない。
ここへ来る人は、そういうものをぜんぶ
どこかに置いてくるのだ。

だからここには何もない。

忙しさのすべてを捨てて
東北へ行こう

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長州のかたへ

「長州のかたへ」

             文 白井彩織(東北芸術工科大学)
             声 遠藤守哉

前略、戊辰戦争から145年経ちますがいかがおすごしでしょうか?
こちら、会津は大きくかわりました。
「会津藩」という名前だったこの土地も
「若松県」を経て「会津若松市」となりました。
「長州」「山口」と聞いて、いやな顔をする人なんていません。
むしろ、遊びにきていただきたいのです。

春はサクラがキレイです。
そちらよりは、遅めに咲くので二度花見がたのしめます。
運がよければ雪化粧をしたサクラを見ることもできます。
夏は、会津盆地の緑の田んぼの上に青い空がひろがります。
猪苗代湖で泳いだり、磐梯山に登ったり、
アウトドアをお楽しみください。

秋はおいしいものがたくさんあります。
田んぼは黄金色になり、おいしいお米が実ります。
芋煮会も各地でおこなわれます。
冬は一面真っ白な世界へと変化します。
しんしんと降り積もる雪の幻想的な風景を眺め、
スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツも楽しみ、
温泉につかって芯まであたたまってください。

戊辰戦争から145年、会津はあなたを歓迎します。
東北へ行こう


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本当の東北を忘れたあなたへ

「本当の東北を忘れたあなたへ」

          文 菊池雄一
          声 地曵豪

あの有名旅館も被災地の旅館になった
あの油がのった魚も被災地の魚になった。
あの甘い野菜も被災地の野菜になった。

あれから…
気がつくとあたりまえのように
東北を被災地と呼ぶようになっている。
そんな私に息子が言う。
「被災地ってどこにあるの?」

東北は被災地という名前ではない。
日本のどこにも被災地という場所は存在しない。

本当の東北を思い出してください。

東北へいこう。


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旅*東北:http://www.tohokukanko.jp/







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