熊埜御堂由香 14年8月10日放送
6香りのはなし グルヌイユの恋
46カ国語に翻訳された小説、
パトリック・ジュースキントの『香水 ある人殺しの物語』。
愛する女性の香りを永久に保存するため殺人を犯す
孤独な男の物語だ。
異常に鋭い嗅覚をもつ主人公、
グルヌイユは、苦悩し、こう独白する。
見たくないなら目をふさげばいい、
聞きたくないなら耳をふさげばいい、
しかし鼻はそうはいかない、
それは呼吸に関わっているからだ。
香りとは、ときに、ひとを、
抗いようのない、
甘美で悲しい恋に誘う。