松岡康 14年8月16日放送
かずっち
ニコライの迎え火
今日8月16日は、京都五山送り火の日。
夏の終わりを告げる風物詩として有名なこの行事だが、
実は春に行われたことがある。
明治4年5月9日。
当時大国だったロシアの皇太子、ニコライが京都に訪れた際、
歓迎の意味をこめ五山すべてに火がともされた。
小国だった日本が行った、国を挙げての熱烈な歓迎。
しかしその3日後、訪れた滋賀県で悲劇がおこる。
警備を担当していた警官が、突然サーベルでニコライを斬りつけた。
怪我をおったニコライは、東京訪問を中止し日本を立ち去った。
歓迎のための『迎え火』が、
ニコライにとっては送り火となってしまった。
今年も多くの人たちが、
送り火を見に京都を訪れる。
その火に隠された、皮肉な物語を知るものは少ない。