礒部建多 14年8月16日放送
Rafael Chu
焼け残った塔
今日8月16日は、京都五山送り火の日。
京都という街と炎は、とても、縁が深い。
世界文化遺産、京都・醍醐寺。
その境内に悠然とそびえ立つ五重塔は
「千年の都」京都の中で、
創建当時の形をそのまま残す、唯一の建造物。
そして、現存する最古の木造建築。
951年、醍醐天皇の冥福を祈るために、
2人の息子、朱雀天皇と村上天皇によって建てられた。
細部までこだわり抜かれた設計だったため、
完成に20年も費やした。
1477年、応仁の乱が起こると
京都は焼け野原と化し、
醍醐寺の下伽藍も灰燼に帰したが、
五重塔だけは、その形のまま焼け残っていた。
何故焼け残ったのか、
その奇跡は科学者たちの研究対象になっている。
焼け跡にたったひとつ残った五重塔は
荒廃の世に醍醐寺の存在を示しつづけた。