奥村広乃 14年8月16日放送

140816-04

京都の窯

今日8月16日は、京都五山送り火の日。
京都という街と炎は、とても、縁が深い。

京都五条坂。
東大路と交差するあたりに
レンガ造りの四角い煙突がある。
その煙突の下には、登り窯が眠っている。

この京都の地で、色絵陶器を完成させたのは
野々村仁清(ののむら にんせい)だといわれる。

仁清は、仁和寺の門前に御室窯(おむろがま)を開き、
自ら作った焼き物に「仁清」の印を捺した。
中世以前の陶芸家は、職人であり、芸術家ではなかった。
しかし、仁清は作品に印を捺すことで、
自身のブランドを確固たるものにした。

藤花文茶壺は、彼の最高傑作として名高い。
温かみのある白い茶壺。
その上に咲き盛る藤の花。
一枚一枚葉脈を施した緑の葉。
赤、紫、金、銀で彩られた花弁は、
風がふけばゆらりとそよぎそうだ。

かつての五条坂にはいくつもの登り窯が並び、
もうもうと黒い煙を吐きながら、
多くの焼き物を生みだしてきた。
しかし、いま、登り窯から煙が立ち上ることはなく、
静かに文化の営みを伝えている。

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