古居利康 14年8月23日放送
c-reel.com
力石徹・夢の重さ 4R
力石徹は、バンタム級の上限、
55.34kgまで体重を落とすことができたのだろう。
矢吹丈と戦う日がやってきた。
少年院での私闘ではない。ボクシングの聖地、
後楽園ホールにて、バンタム級8回戦。
たぶん、力石徹は、自分がいちばん強い
と思って生きてきた。ところが、
自分より小柄なくせにパンチだけはめっぽう強い、
不良少年に倒されてしまった。
信じられないし、許せない。
もういちど戦って、決着をつけたい。
ほんとに強いのはどっちか。白黒つけようぜ。
ただし、同じ階級、同じ体重で。
ジョーは、自分がフェザーに階級を上げると
申し出た。力石は断わった。
「太って鈍くなったお前に勝ってもつまらない」
結末は言うまでもない。
力石徹はプロ20戦全勝、すべてKO勝ち。
負けないまま去っていった。
1970年3月24日。東京・文京区の
講談社講堂で力石徹の追悼式がおこなわれた。
テンカウントのゴングが鳴るなか、
弔辞を読み上げたのは、『あしたのジョー』
TVアニメの主題歌を書いた寺山修司だった。