KentaroIEMOTO@Tokyo
高嶋仁が見た夢
照りつける太陽、立ち上る陽炎。
全国の高校球児たちが、まさに熱闘を繰りひろげる甲子園。
強豪と言われるチームには、名将とよばれる監督の存在がある。
智弁和歌山を率いる監督、高嶋仁(たかしまひとし)はかつてこう言った。
「苦しい思いをした人間だけが逆境をチャンスに変える」
今年、智弁和歌山は惜しくも甲子園出場を逃してしまった。
しかし、彼らはこの悔しい思いを糧に強くなるだろう。
もう、その目は次の夏を見ているのだから。
KentaroIEMOTO@Tokyo
高嶋仁が見た夢
照りつける太陽、立ち上る陽炎。
全国の高校球児たちが、まさに熱闘を繰りひろげる甲子園。
強豪と言われるチームには、名将とよばれる監督の存在がある。
智弁和歌山を率いる監督、高嶋仁(たかしまひとし)はかつてこう言った。
「苦しい思いをした人間だけが逆境をチャンスに変える」
今年、智弁和歌山は惜しくも甲子園出場を逃してしまった。
しかし、彼らはこの悔しい思いを糧に強くなるだろう。
もう、その目は次の夏を見ているのだから。
mattb_tv
青木秀憲が見た夢
東京の名門、開成高校。
かつて同校野球部は、データと理論を駆使した
独自のセオリーを用い、東京大会ベスト16という好成績を残した。
彼らが掲げた勝利の方程式は、
「ドサクサにまぎれて勝つ」という独創性あふれるもの。
チームを育てた知将青木秀憲監督は言う。
「野球は大いなる無駄。無駄だからこそ
思いっきり勝ち負けにこだわってやろう」
強豪校と比べ、体格や技術に差があることを認めつつ、
それでもなお勝ちにこだわることを学んだ球児たち。
勝つことにこだわった3年間に、無駄なところなど一つもない。
江戸川乱歩が見た夢
現世(うつしよ)は夢。夜の夢こそまこと。
数々の推理・怪奇小説を世に送り出した
作家、江戸川乱歩のことば。
子供のころから極度の人間嫌いだった。
生きることは妥協と言い放つほど厭世的だった乱歩は、
自作の出来を恥じて、人生で三度も休筆した。
五十を前に別人のように明るい性格になったというが、
「孤島の鬼」「陰獣」などの代表作を生み出したのは、
皮肉にもネガティブ全盛の時代。
内へ内へと向かう力こそが、
乱歩の創作を飛躍させる原動力だった。
コナン・ドイルが見た夢
作家コナン・ドイルによって生み出された
探偵シャーロックホームズは、
シャーロキアンと呼ばれる
世界中の熱狂的ファンから支持されている。
最終回として書いた「最後の事件」で
ホームズを滝つぼにつき落としたドイルのもとには
悲嘆にくれるシャーロキアンたちから、
抗議の手紙が押し寄せたという。
根負けしたドイルは、
続編「バスカヴィル家の犬」で
ホームズを復活させる。
その瞬間、作家の意志をこえて、
ホームズは、一人歩きをはじめた。
トーベ・ヤンソンが見た夢
日本ではかわいらしいキャラクターで知られている
ムーミンの物語は、実はかなり大人向けだった。
物語は、
トーベ・ヤンソンの手によって、
戦争中にフィンランドで生まれた。
次の言葉は、ムーミンママが、ムーミンに投げかけるものだ。
さあ、あしたもまた長い、いい日でしょうよ。
しかも、はじめからおわりまでおまえのものなのよ。
とてもたのしいことじゃない!
ムーミン谷の物語に一貫しているテーマ。
それは、目の前のささやかな幸せは当たり前にあるとは限らない、
ということ。
隣のロシアやスウェーデンなどの強国に
脅かされ続けた小さな国で生まれ育った彼女は、
日常のささやかな幸せこそが夢だと知っていたのだ。
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アルヴァ・アアルトが見た夢
19世紀末に生まれたフィンランドを代表する建築家、
アルヴァ・アアルト。
若い頃は、当時のグローバルな潮流であるモダニズム建築に
必死に食らいつこうとした。
しかし、結局、彼はこんな概念にたどりつく。
「建築とそのディテールは、ある意味、生物学に属する。」
「世界中で最もすぐれた規格化委員会は“自然界”である。」
そしてアアルトは、
木材と曲線を特徴とする、フィンランドの自然と風土に根差した
人間が暮らしやすい建築を数多く残した。
ごく普通の人たちのためにこの世のパラダイスを作り出したい
というのが、彼の夢となったのである。
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アキ・カウリスマキがつくる夢
アキ・カウリスマキは、
社会では陽の当らないひとたちにスポットライトを当てる。
彼の映画を最初に見ると、誰もが面喰うだろう。
登場人物はみな無表情、
極限までそぎ落とされた台詞、
独特の間。
主人公はだいたい徹底的に不幸な目に遭う。
だけれど、そこかしこにただようユーモア。
弱者を弱者としてそのまま認めることが、救いになる。
作り手であるカウリスマキの、圧倒的にやさしいまなざし。
一貫して弱者を題材にする彼はこう言う。
「映画とは、一日一生懸命働いた人がその日の終わりにリラックスし、
楽しむために観るエンターテインメントだ」
彼の映画は、労働者の労働者による労働者のための、
つかの間の夢なのである。
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