佐藤理人 16年7月9日放送
ゴーストライターズ 「ブラウン」
1964年、フランツ・リストが目の前に現れたとき、
ローズマリー・ブラウンは驚かなかった。
彼女に楽譜を書き取らせた作曲家の幽霊は、
彼が初めてではなかったからだ。
リストは一度に数小節ずつ書き留めさせた。
ショパンは1音ずつ彼女の指を鍵盤へ導いた。
シューベルトは40ページに及ぶソナタを歌って聴かせた。
ベートーヴェンは10番目と11番目の交響曲を完成させた。
何人もの専門家が調べたが、詐欺の証拠は見つからなかった。
楽譜はどれも作曲家たちの作風と完全に一致していた。
何より彼女はブラームスの幽霊が指導したにもかかわらず、
ピアノがほとんど弾けなかった。