小林慎一 16年7月17日放送
戦闘と数学篇
1944年。
フォン・ノイマンは「ゲームの理論と経済行動」
という共著を出版した。
ノイマンはこの本の中でゲーム理論という言葉を生み出し
人間がゲームをいかに遂行するかを数学的に記述した。
チェスやポーカーについて研究し、
経済の営みもモデル化しようとした。
アメリカのシンクタンクであるランド研究所は
ノイマンのアイデアが持つ
潜在的可能性に気づき
冷戦期の戦略開発のために彼を雇い入れた。
ゲーム理論は、
戦闘をチェスと見立てて戦略を練るのに
なくてはならない道具となった。
ゲーム理論によって進化した戦闘は
より効率よく人を殺せるようになったのだ。
ジョイスティックで操られた無人機が爆弾を落とす。
戦闘のゲーム化が、残虐性を覆い隠してはいないだろうか。