茂木彩海 16年7月31日放送
David W. Carmichael
記録のはなし スルヤ・ボナリー
1991年の世界選手権。
ここで幻の4回転ジャンプが氷上に舞った。
スルヤ・ボナリー。
当時圧倒的に数が少なかった黒人の女性フィギュアスケーターである。
得意のジャンプを武器に、数々の選手権で会場を沸かせたが、
4回転ジャンプですらも、
「表現力が足りない」「回転不足」などの理由から
入賞を果たせず、その実力がなかなか評価されない選手人生が続いた。
そんな中迎えた1998年長野オリンピック。
彼女は、競技ルールでは禁止されている後方宙返りを行った。
見たことも無い大技に歓声を上げる客席。
演技終了後、彼女は審査員に背を向けて、客席に向け、笑顔でポーズを取った。
せめて自分らしく終わろうと、彼女なりに決意した瞬間だった。
委員会の正式な記録では、この11年後、
女性で世界初の4回転ジャンプが成功したとされている。