佐藤日登美 16年7月24日放送
文(ふみ) リルケからの手紙
詩人、リルケ。
ある日、彼は詩人を志す青年から手紙を受け取る。
中には青年が書いた詩と、その詩を読んで、
自分が詩人になれるかどうか見極めてほしい、という依頼が入っていた。
しかし、偉大な詩人リルケは、「わたしにはできない」とこの頼みを断った。
あなたの夜の最も静かな時間に、
自分は詩を書かずにはいられないのか…、とご自分にお尋ねなさい。
心のなかを掘って深い返事をお捜しなさい。
(中略)
そして、もしあなたがこの真剣な問いに、
「私は書かずにはいられない」という
強い簡単な返事をすることがおできになるならば、
そのときには、あなたの生活をこの必然性に従ってお建てなさい。
今月は文月。
一通の手紙で、詩人は若者の情熱と覚悟を問うた。