三島邦彦 16年7月30日放送
音楽に生きるひと 小澤征爾と斎藤秀雄
世界の音楽通をうならせる日本のオーケストラ、
サイトウ・キネン・オーケストラ。
それは、
指揮者の小澤征爾をはじめ多くの音楽家を育てた教師、
斎藤秀雄先生を偲ぶ演奏会から生まれた。
常設の楽団ではないため、
全体の調和よりも、それぞれの奏者の強い個性が際立つ。
その自由闊達なハーモニーは、
新しいオーケストラの形として高く評価された。
定期的に演奏会を開くようになり、
海外公演にも招待され、
グラミー賞も受賞するなど、
世界的なオーケストラへと成長した。
小澤征爾は、斎藤先生に言われた言葉を思い出す。
伝統といっても、そこには良い伝統と悪い伝統がある。
その国に行ったら、そこの良い伝統だけを取り入れなさい。
もしそれができたら、日本人だって、アジア人だって、ちゃんと分があるぞ。
西洋音楽の伝統のない日本で音楽を教え続けた斎藤先生。
そこから巣立ち、世界中の良い伝統を取り入れた教え子たちによって、
世界に響く音楽が生まれることになった。