あゝ無駄遣い 「氷の宮殿」
18世紀ロシアの女帝アンナ・イワノーヴナは、
心の冷たい女性だった。
性格に似て、与える罰も冷酷。
命令に背いた家臣を、
国で最も美しくない女性と結婚させた。
さらにグラスのワインが
一瞬で凍る大寒波がにもかかわらず、
氷の宮殿に住まわせた。
壁もベッドもカーテンも何もかもが氷。
庭には氷で彫刻したオレンジの木と、
枝にとまる鳥まで置いた。
しかしその年の暮れにアンナは死亡。
春の訪れとともに宮殿は溶け、川に流れた。
家臣とその妻は暖かい家庭を築いたという。