絵と服と男たち②「モーツァルトの礼服」
モーツァルトがオシャレの歓びを知ったのは
6歳のときだった。
彼の天才的な演奏に感動した
オーストリアのマリア・テレジア女帝は、
ご褒美として息子のマクシミリアン皇子の礼服を与えた。
太い金モールで縁取られた藤色の上着とベスト、
華やかなレースのシャツやたくさんのボタンに
幼い少年は心を奪われた。
その姿を描いたのがアントニオ・ロレンツォーニの
『大礼服姿の少年モーツァルト』。
片手を懐に入れるポーズは
ナポレオンや坂本竜馬が有名だが、
この絵の彼が最初だと言われている。