その男、チェ・ゲバラ
革命には血がつきもの。
キューバに革命をもらたしたチェ・ゲバラも、
いくつもの戦闘を経験した。
しかし、彼自身は決して戦いが好きなわけではなかった。
ゲバラは語る。
戦争に備えることを努力の中心に据えてしまったら、
われわれが望むものを建設することは不可能だし、
創造的な仕事に集中することができないからである。
また、ゲバラはこうも言っている。
国立銀行の金庫から出て行くお金で一番わびしく思えるのは、
破壊兵器を購入するために支払われるお金である。
その男、チェ・ゲバラ
革命には血がつきもの。
キューバに革命をもらたしたチェ・ゲバラも、
いくつもの戦闘を経験した。
しかし、彼自身は決して戦いが好きなわけではなかった。
ゲバラは語る。
戦争に備えることを努力の中心に据えてしまったら、
われわれが望むものを建設することは不可能だし、
創造的な仕事に集中することができないからである。
また、ゲバラはこうも言っている。
国立銀行の金庫から出て行くお金で一番わびしく思えるのは、
破壊兵器を購入するために支払われるお金である。
その男、チェ・ゲバラ
革命家チェ・ゲバラは医者だった。
幼いころにぜんそくを患った
経験から医学を志した。
若き日の南アメリカ縦断旅行の途中でも、
それぞれの土地の医療の在り方を観察した。
キューバでの革命を成し遂げた後、
医学生に向けての演説で、ゲバラはこう語った。
医者というものは、世の中で何が起きようと
絶えず患者のそばについていて、
患者の心理状態を深く知り、
痛みを感じとりそれを癒す者の代表である。
人の痛みを知ろうとする姿勢。
革命家になってもゲバラはそれを忘れなかった。
Paul McAlpine
その男、チェ・ゲバラ
キューバ革命が成功し、
チェ・ゲバラは革命の象徴になった。
自分がキリストのように崇拝されることに関して、
ゲバラはこう言った。
僕はキリストじゃないし、慈善事業家でもない。
キリストとは正反対だ。正しいと信じるもののために、
手に入る武器は何でも使って闘う。
自分自身が十字架などにはりつけになるよりも、
敵を打ち負かそうと思うのだ。
Paul McAlpine
その男、チェ・ゲバラ
革命家というのは、
その行動の大胆さから
荒々しい性格なのではないかと
つい思いがちだけれど、
キューバ革命を成功させた チェ・ゲバラは、
実に慎重な姿勢の持ち主だった。
彼は、著書『革命戦争の足跡』の中で、
革命の記録をつづるにあたり、こんな心がまえを示している。
私たちが唯一願うこと、
それは物事の語り手が真実を述べることだ。
自分の教養と才能に従って、
自らのやり方で原稿を数枚書いたら、
できる限り厳しく自己批判をしてほしい。
そして、厳密には事実でない箇所、
完全なる真実という確信が持てない部分を
全て削るのだ。
こうした気概をもって、
我々は記憶の記録を始めることにしようではないか。
その男、チェ・ゲバラ
革命家 チェ・ゲバラ。
彼のポートレイトは若者たちのTシャツのモチーフになるほど、
その顔が、現代風に言うところの
“イケメン”であったことも知られている。
彼が妻と新婚旅行に行った時。
旅先のチチェインツァーという場所で
あるハプニングが起こる。
2人は映画の撮影現場に遭遇。
野次馬としてのぞき込んでいたら、
こどもたちがゲバラを映画スターと勘違いして
サインを求めてきたのだ。
困ったゲバラ。こんなことばで切り抜けた。
「僕は忙しいんだ。」
夢を壊してはいけないと、
映画スターを気取ってじょうずに断った。
その行動に、彼の人格がうかがえる。
Paul McAlpine
その男、チェ・ゲバラ
革命家でもあり、医師でもあったチェ・ゲバラ。
彼には、とりわけ気にかけていた患者がいた。
マリーア婆さん、というぜんそく持ちの患者。
昼夜を問わず彼女のために病院へ駆けつけ、
その熱心さは、妻も首をかしげるほどだった。
なぜそんなにもゲバラは彼女を放っておけなかったのか。
その生涯をひも解くと、見えてくる。
マリーア婆さんは
生涯、洗濯屋として働き、
たった一人の娘と、孫を数人だけをのこして
貧しくこの世を去ろうとしている人だった。
彼女の姿はゲバラの目に、
最も忘れられ、最も搾取された階級の
生きる証人のように映っていた。
彼女の死を経て、ゲバラは世界を変えようと奮起する。
生涯君の希望を裏切り続けたひどい神様には祈らないでいい。
君の孫たちは皆幸せに生きることを、
僕は約束します。
薔薇の季節 青いバラの研究者
英語のblue roseは「不可能」を意味する。
薔薇は青の色素を持たないので、
青い花を咲かせることはない。
ギリシア・ローマの時代から知られるこの常識を破ったのは、
日本の科学の力だった。
たずさわった研究者はこう語っていたという。
幸せを象徴する青い花を作って世の中を明るくしたい
努力が生んだ、青いバラ。
その花言葉は、「夢、かなう」。
薔薇の季節 ウィリアム・モリス
モダンデザインの父、ウィリアム・モリス。
19世紀のイギリスで
書籍やカーテンなど日用品のデザインを洗練させ、
人々の生活における美意識を高めようとしたその活動は
アーツ・アンド・クラフツ運動と呼ばれ、
デザインの世界に革命的な影響を与えた。
モリスにとっての重要なモチーフ。
それは、植物。
草木の葉やツルをパターン化した彼のデザインは今も、
壁紙やテーブルクロスとして世界中の家のリビングを飾っている。
数ある植物の中で彼が特に愛した花、それは薔薇。
ある日、モリスの庭で育ててもらおうと
最新の品種改良をされた薔薇がモリスへ送られた時のこと。
薔薇を見るなりモリスはこう言った。
全体の形でも細部でも、道端の茂みにある薔薇より美しい薔薇はない。
どんな香りも、その芳香よりも甘くなく純粋ではない。
モリスのデザインが追い求めたもの。
それは、野に咲く薔薇のように自然なものだけが持つ
完璧な純粋さだった。
Ako
薔薇の季節 北原白秋
日本文学の歴史において、花と言えば、桜と梅。
その歴史の中で薔薇は、ほとんど描かれることはなかった。
明治時代。
文明開化の世の中で、
歌人、北原白秋はこんな歌を詠んだ。
目を開けて つくづく見れば 薔薇の木に 薔薇が真紅に 咲いてけるかも
歌人が薔薇の花に美しさを感じた時、
世の中に、文学に、
新しい風が確かに吹き始めていた。
薔薇の季節 シレジウス
17世紀のドイツ。
詩人のシレジウスは、
こんな一節を残した。
薔薇はなぜという理由もなく咲いている。
薔薇はただ咲くべく咲いている。
薔薇は自分自身を気にしない。
人が見ているかどうかも問題にしない。
数百年の時を経て、今年も薔薇が咲き誇る。
シレジウスの胸を打った時と変わらず、
あくまで自然に美しく。
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