カクテル・ストーリーズ/ヘミングウェイ
1932年、パリ。
アメリカの文豪、ヘミングウェイは
ボクシング・ジムの帰り道に、
ある行きつけのバーに立ち寄った。
ハリーズ・ニューヨーク・バー。
顔なじみの店主に対し、彼は
「運動後の気付けの一杯を」と注文した。
それを聞いたバーテンダーは、こんな一杯をさし出した。
ペルノと言うリキュールを、シャンパンで割ったカクテル。
ペルノは後悔の味がする
ヘミングウェイがいつもそう漏らしていたのを思い出し、
その後悔の味を、シャンパンで慰めてみようと考えたのだった。
このカクテルは後に、
「デス・イン・ジ・アフタヌーン」と名付けられる。
それは、ヘミングウェイが当時書きあげたばかりの作品の名前。
いかにお気に召したかが、うかがえる。
カクテル・ストーリーズ#4
「デス・イン・ジ・アフタヌーン」