sympathy
ひとりとひとり 宮本常一と渋沢敬三
旅する巨人と言われた民俗学者、宮本常一(みやもと つねいち)。
彼を偉大な民俗学者にしたのは、
才能と努力だけではなかった。
「パトロン」がいた。
渋沢敬三(しぶさわけいぞう)。
第16代日本銀行総裁。のちの大蔵大臣。
日本の辺境に残る文化をつぶさに記録した宮本を、導き、援助しつづけた。
渋沢は、日本の経済の中心にいながら、
つねに日本の「すみずみ」のことを考えていた。
その思いを、宮本常一に託したのかもしれない。
渋沢のこんな言葉が残っている。
舞台で主役をつとめていると、多くのものを見落としてしまう。
その見落とされたものの中にこそ大切なものがある。
それを見つけてゆくことだ。
人の喜びを自分が本当に喜べるようになることだ。