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ペンは動く 魚谷常吉
料理人、魚谷常吉。
昭和初期、軍国主義の風が吹く日本で、
家庭料理の本を書いた。
最初の本である『茶料理』では、
懐石料理を、
上流階級の食べ物ではなく、
素材の味を最大限に活かすという
料理の基本に忠実なあり方としてわかりやすく紹介した。
その後も、『酒の肴』『料理読本』など、
本を通じて日本の家庭料理の充実をはかった。
ペンというやつは、
なかなか包丁のごとく思うようには動かぬもの。
そう言いながらも魚谷は、
厳しい時代の中で黙々と本を書き、
日本の家庭にたしかな幸せをとどけてくれた。