中村直史

三島邦彦 15年3月28日放送

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気になるあの人 鉄血宰相ビスマルク

その強烈な名前は、
歴史の教科書でも異彩を放つ。

鉄血宰相ビスマルク。

死後、彼が書いた多くの手紙が発見された。
これはその中の一節。

 それにしても私をこの手紙と同封させるか、
 郵便袋のなかの郵送物として一緒に飛んで行けるといいんだがね。

教科書に載っていない鉄血宰相の素顔。
それはユーモアあふれるロマンチストだったのかもしれない。

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中村直史 15年1月18日放送

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japanesefilmarchive
はじまりの言葉/増村保造(ますむら やすぞう)

フェリーニやヴィスコンティに学び、
斬新な演出で戦後の日本映画に
新風をふきこんだ映画監督、増村保造。

日本的な情緒や雰囲気を嫌い
個人が発する「自我」を強烈に描きつづけた。

登場人物が強烈なら、演出方法も強烈。

死へと疾走する遊郭の女性を描いた「曾根崎心中」。
ヒロインの恋人役を演じた宇崎竜童に対する
撮影開始の合図は

「よーい、強く喘いで死ぬ気で、スタート!」

だったという。

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中村直史 15年1月18日放送

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serakatie
はじまりの言葉/リチャード・バック

何十年も生きてきて、
毎年、年の初めには、抱負のようなものも考える。

けれど、わからないのである。
一年一年、抱負が自分を成長させたのか。

むしろ、抱負負けして、
毎年どんどんダメになっているのではないか。

それでも、と「かもめのジョナサン」の作者
リチャード・バックは言います。

 やっぱり自分の歌をうたい続けることだと思うね。
 思いわずらい、駆けずり回りながらでも
 自分の歌だけはうたい続けるわけだ。

2015年、
あなたの歌を大きな音で聴きたいです。

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三島邦彦 15年1月18日放送

150118-03
santiagodn
はじまりの言葉 安田登(やすだのぼる)

新しい年のはじまりとともに、
何かを決意する人は多い。
しかし、そうした思いのほとんどは、
日常に押し流され、
どこか遠くへ消えていく。

能楽師、世阿弥が語った
「初心、忘るべからず」という言葉。
その意味について、
古代文字の研究者でもある能楽師、安田登はこう語る。

 初心の「初」の字は「衣」と「刀」です。
 着物をつくるときに、
 布地に最初にはさみを入れること、それが「初」です。
 着物をつくるときには、それがどんなに美しい生地であっても、
 そこにはさみを入れなければつくれない。

世阿弥が語った、初心。
その言葉にはもともと、
自らの過去に切れ目を入れ、変化を起こす強い心や、
過去と決別する、変化への切実な思いがこめられていた。

さあ、あらためて、
今年の初心はいかがですか。

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三島邦彦 15年1月18日放送

150118-04

はじまりの言葉 川上哲治

選手時代は「打撃の神様」と呼ばれ、
監督時代は9年連続日本一。
野球界に伝わる、
「名選手名監督にあらず」という言葉を覆した男、川上哲治。

その川上が引退後、野球解説者として初めて放送席に現れた。
偉大な人物を前に緊張するアナウンサーに向かって、
川上はこう言った。

 放送に関しては、僕が素人で君が先輩だから、
 びしびし指導してください。
 日本一の解説者になるつもりだから、どうぞよろしく。

その時、川上さんが選手としても監督としても
一流になった理由がわかった気がする、
と、アナウンサーは後に語った。

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三島邦彦 15年1月18日放送

150118-05

はじまりの言葉 ヘンリー・フィールディング

イギリス小説の父、
ヘンリー・フィールディング。
彼の作品の一つは、こんな書き出しではじまる。

 作家は自分を、内輪の、もしくは慈善のもてなしを行う紳士としてではなく、
 金さえ出せば誰でも歓迎される公的な食堂の経営者と見なすべきである。

読者を選ばないサービス精神。
イギリス小説の歴史は、
その決意からはじまった。

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三國菜恵 15年1月18日放送

150118-06
ネコ温泉
はじまりの言葉 宮崎駿

学校が始まった。会社が始まった。
ああ、面倒くさい。
そう思っているあなたへ。巨匠・宮崎駿のこんな言葉を。

 大事なことは、たいてい面倒くさい

お金を稼ぐことも、知恵を学ぶことも、人間には必要。
また来週も、がんばりましょうか。

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三國菜恵 15年1月18日放送

150118-08

はじまりの言葉 中原中也

詩人・中原中也。
19歳のときに経験した、ある喪失。

長年連れ添った彼女が、
自分の親友と関係を持っていたことがわかった。
中原は後ろ姿を見送り、ひとりで部屋へと戻ってくる。

 みなさん今夜は静かです
 薬鑵の音がしています

この日彼は恋人を失い、
はじめての孤独を手に入れた。
それは詩人にとって絶対的に必要なものだった。

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中村直史 14年12月28日放送

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Marianne Bevis
言葉2014 ロジャー・フェデラー

「もうフェデラーの時代は終わった」
そんな観客たちの声を、彼は感じていただろうか。

2014年ウィンブルドン。

ピークを過ぎたはずのロジャー・フェデラーは躍動した。
体力が落ちた分は技と精神力でカバーした。
ピンチを何度ものりこえ、進んだ決勝戦。
第4セット。
対戦相手ジョコビッチのマッチポイント。
さすがに、フェデラーもここまでか。
だれもが思った。力の差は歴然に見えた。

けれど、ここからのフェデラーはすさまじかった。
毎日少しずつ何かをあきらめている僕らは、
決してあきらめちゃダメなんだと、
最終セットに突入するフェデラーを見て思った。

表彰式。チャンピオン、ジョコビッチの第一声。

 僕はフェデラーのありとあらゆるすべてを尊敬する。

それは場を盛り上げるための
賛辞なんかではなかった。

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中村直史 14年12月28日放送

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Se7en Summits
言葉2014 石川直樹

写真家であり、冒険家でもある、石川直樹。
彼の写真が特別な理由はシンプルだ。

 だれも行ったことのない場所で写真をとれば、
 だれも見たことのない写真になる。

でも、この世界に
だれも行ったことのない場所なんて残っているのだろうか?
インターネットでどんな場所のことも知ることができるこの世界で?
そんなギモンに、石川直樹は答える。

 世界を知ったつもりになると、とたんに世界はつまらなくなる。

毎日歩く駅までの道のりだって、
本当はまだ何も知らないのかもしれない。
毎日は冒険なのだ。

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