手紙 谷崎潤一郎
まだ新婚だったくせに、
作家谷崎潤一郎は
人妻に惚れてしまった。
大阪で1,2を争う大商店の人妻は
根津松子。
松子に送った恋分の中で
谷崎はこんな言葉をつづった。
たとえ離れておりましても
あなた様の事を思っておりましたら
それで私には無限の創作力が湧いて参ります。
しかし誤解遊ばしては困ります。
私に取りましては
芸術のためのあなた様ではなく、
あなた様ための芸術でございます。
そして新妻を捨て、
松子のもとにかけつける。
すぐ二人は深い仲になった。
松子は名作『細雪』の幸子のモデルとなる。