薄組・石橋涼子

石橋涼子 13年7月14日放送


dw_globalideas
海のはなし ミクロネシアの言葉

ミクロネシア連邦をご存知だろうか。
ギリシャ語で「小さな島々」を意味するこの国は、
文字通り、赤道沿いに浮かぶ607の小さな島で構成される。

ミクロネシアは約500年前に
欧米によって発見された。
もちろん、発見だなんて、よそ者の勝手な言い分で
それ以前から島の人々は平和に暮らしていたのだ。

以来、自然豊かなミクロネシアの島々は
多くの植民地戦争に巻き込まれ
歴史という名の嵐に翻弄され続けた。

ようやく独立を果たしたのは1986年。

ミクロネシアの人々が、
ミクロネシアの過去と未来のためにつくった
憲法の前文にはこう書かれている。

 戦争を知ったが故に、我々は平和を望む
 分割させられたが故に、我々は統一を望む
 支配されたが故に、我々は自由を求める

そして、その中の一文、

 海はわれわれを分かつのではなく一つにしてくれる。

彼らの切なる言葉は、なぜだろう、詩のように美しい。

topへ

石橋涼子 13年7月14日放送


John-Morgan
海のはなし あるカヌー乗りの言葉

ハワイの海で伝統的なアウトリガーカヌーには、
神様がすわるシートが用意されている。
人々ははるか昔から
海の恵みも、試練も、神様とともに分かち合った。

 ある年配のカヌー乗りはこう語る。
 カヌーに一緒に乗れば、たとえ初めて会った人間でも
 その日から仲間であり家族になるんだ。

ということは、神様も家族。
苦楽を共にする存在は、それくらい近しい方がいい。
南国は、海も神様も人の心も、広々としている。

topへ

石橋涼子 13年6月30日放送



プレゼントのはなし グレン・ミラーとプレゼント

ジャズのビッグ・バンド黄金時代を築いたと言われる
アメリカのミュージシャン、グレン・ミラー。
20代で主催したバンドの解散と破産を経験し、
第二のバンドは、妻の実家まで担保にして資金をつくった。

グレン・ミラーは、天才的に判断がはやく、主張を曲げない。
しかも周囲があきれるくらいの完璧主義。
バンドメンバーのなかには、グレンを尊敬するものと同じくらい
嫌うものが多くいた。

しかし全員が知っていることもあった。
貧しいバンドのためにグレンがいつも奔走していること。
時には自分のお金を出していること。
そして、必ずこのバンドが成功すると信じていること。

ようやくバンドが軌道に乗り始めた1940年のクリスマスイブ。
コンサートを終えたメンバー全員からバンド・リーダーに
プレゼントがあった。

 グレンへ。楽団員より。

それだけ書かれたクリスマスカードが添えられた、ビュイックの新車。

その瞬間、
一部のメンバーに冷血漢とまで言われたバンド・リーダーが
人目もはばからずに涙を流したのだった。

topへ

石橋涼子 13年6月30日放送


jijis
プレゼントのはなし 完璧なプレゼントとは

コージーミステリーという小説ジャンルをご存知だろうか。
コージーは「居心地の良い」という意味。
タフな探偵も派手なアクションも無いけれど、
人生経験豊かな女性たちがおいしい料理とともに
日常を楽しむヒントを教えてくれる。

アメリカで人気のコージーミステリー作家
ローラ・チャイルズの作品には、こんな言葉が。

 抱擁は完ぺきな贈り物である。
 ひとつのサイズで誰にでも合うし、
 もらったものを返しても怒る人はいない。

温もりのある言葉とアツアツの紅茶は、
殺伐としがちなミステリーに、意外と合う。
一冊、自分に贈ってみてはいかがだろうか。

topへ

1歳1カ月の育児の話し。

連日の熱帯夜。
着々と成長する1歳児。
当然ですが、日に日に寝相が悪くなります。

すーさんは未だおっぱいっ子ですので、
寝た直後は当然ですが母と平行です。
フォーメーションは「Ii」です。
寝がえりをくり返すうちにじわじわと
カタカナの「ト」になったかと思うと
「T」になったり「⊥」になったり。
(縦が私です念のため)

夜中にふと目覚めて隣を見ると、すーさんがいない!
え?!どういうこと?!
慌てて起き上がると枕の向こう側に転がっていたり。
足元に突っ伏していたり。
なぜそこに?という場所にいます。

ちなみにこの頃はベッドで川の字に寝ていたのですが、
柱の関係で、ベッドのあしもとと壁の間に
ちょっとだけ隙間がありました。
(図1)

ある蒸し暑い夜、いつも通り寝苦しそうに
ごろごろ、ごーろごろ、転がっていたすーさん。
勢いがついて、ごろごろごろごろっと一気にベッド上を転がり
すぽーん!
壁とベッドの間に見事にはまりました。
(図2)

はまった瞬間に目が覚めたようで、
一瞬きょとんとしてから号泣。
おかあさんもビックリしたよ。

ビックリしつつも、珍しいもの見れたー
というくらいの気持ちでいたのですが、
それからしばらく経ったある夜。

「ぴにゃーー」
すーさんの泣き声で目を覚ますと隣にいない。
今日はどこだ?
と見ると、なんと、またしても例の隙間です。
しかも。今度は頭からすっぽり。
犬神家!!
(図3)

おおっ!
これにはかなりビックリしました。
慌てて引っこ抜き、慌ててベッドを封印。
慌てて布団に切り替えました。

小さなお子さまがいるおうちには、
やっぱり布団が良いですね。
って、多くの人は痛い目を見る前に
気づいていると思うけど・・・

topへ

1歳0カ月の育児の話し。

とうとうすーさん1歳になりました。
おめでとうっ!!

一年前に生まれた3780グラムの美少年が、
今では10キロ超え!(相変わらずでぶ)
さらに5秒くらいなら自力で立てるまでになったのです。
感動…!!

(しかし、人間のこどもの成長って本当にのんびりしてますね。
 大抵の動物は産まれた日に立ち上がりますものね。。。)

ちなみに自立できるのは5秒が限界なのですが、
つかまり立ちはだいぶ安定しております。
すると、何が良いかって。
オムツの交換がラクになるんです!

ハイハイや寝がえりができるようになると
オムツ替えのときに「くるん」っと逃げるので大変。
ですが。
つかまり立ちができるようになると
ソファなどにつかまらせて
オムツをさっと履かせることができるのです。
とってもラクちんなのです。
わーい。

という具合に調子に乗って
本棚につかまり立ちをさせた日のこと。
脱がした瞬間、
「ちー・・・・」
出た。出たよ。
し、か、も。
TCC年鑑のコーナーだよ。
(定価20000円だよ)

しかし年鑑は高価なだけあって、
はっ水性も良いのです!
ふきふき。
ほらね!大丈夫!

ちょっと香る気もするけど・・・大丈夫!

というかこの育児日記、下の話題が多くてすみません。

topへ

石橋涼子 13年5月19日放送


きんちゃん
緑のはなし 室生犀星の感じた緑

新緑が芽吹き若葉の香り漂う五月は、生命力溢れる季節。
しかし一方で、五月病というものにかかる人もいる。

新しい季節が発するハツラツとしたエネルギーに、
すこし腰が引けてしまうのかもしれない。

そんなときは、室生犀星の
「五月」という詩を口ずさんでみよう。

 悲しめるもののために
 みどりかがやく
 くるしみ生きむとするもののために
 ああ みどりは輝く

緑の持つエネルギーは、きっと、あなたの糧になる。

topへ

石橋涼子 13年5月19日放送


かずっち
緑のはなし フォーチュンの求めた緑

19世紀イギリスは、大航海時代とともに
庭園ブームがピークを迎えていた。
プラントハンターと呼ばれる人々が
まだ見ぬ植物を求め、はるか極東へやってきた。

アジサイやツツジなど色鮮やかな花に加え
彼らが求めたのは、「緑」だ。
冬の寒さ厳しいイギリスでは
一年中緑を絶やさない常緑樹が好まれたのだ。

アオキの苗を求めて日本へ上陸したプラントハンター
ロバート・フォーチュンは、こんな感想を記した。

 いや、まったく、
 これらの島々は庭園の趣というより
 むしろ自然の庭園そのものであった。

彼らにとって日本は
黄金の国よりもはるかに魅力的な、緑の国だった。

topへ

0歳11カ月の育児のお話し。

10カ月の回で「熱出し過ぎ!」と書きましたが
今回は、「熱出るたびに成長し過ぎ!」という話しです。

本当にこどもは熱を出して寝込むたびに
すくすくと成長するのです。

体調が悪い間はこどもの機嫌も悪いので
親が成長に気づく余裕が無いだけだった、
ということなのかもしれませんが。

しかし事実として成長するのです。
サイヤ人並に(図参照)。

いきなり「あかんべえ」を覚えたり
ストローで吸えるようになったり
踊ったり離乳食おかわりしたり
おかあさんのパンツかぶったり…。

そして!
とある発熱の後、すーさんは「たっち」をしたのです。
二本の足で立ったんですよ!!
もう赤ちゃんじゃない!!
すごい!

その一回だけでしたが。
同じ月齢の子に比べると、だいぶのんびりしたペースですが。
それでも確実に成長しています。

この調子であっという間に立って歩いて走って母の元を飛び出して
恋して青春して盗んだバイクで走りだしてだめだなんか泣けてきた。
一瞬一瞬の成長は輝かしいんですが、
遠い未来まで想像すると、かあさん良くも悪くも泣いちゃう。
ずっと赤ちゃんでいろ!と思っちゃう。
それはそれで大変だけど。

そんなすーさんも、来月には1歳。
かあさんやっぱり泣いちゃう。

topへ

閑話休題。育児中の母が食べたいものの話し。

営業のニシダさんは、奥さまが専業主婦をしていて、
ふたりのカワイイお子さんも主に奥さまが育てている。

ある日、ニシダさんは奥さまを慰労しようと考えた。
実家の両親に子どもたちを預け、
久しぶりにふたりで外食をすることにしたのだ。
さあ、どこへ行こう?
キミが食べたいものを思いっきり食べよう!
張り切るニシダさんに、奥さまはこうリクエストした。
「ラーメン食べたい」

そして夫婦は仲良く、アツアツのラーメンをすすったのでした。
めでたしめでたし。

ニシダさん曰く、「妻の気持ちがわからない」とのこと。
私はですね、めちゃくちゃわかりますっ!!

というかわが家もまったく同じ話しがあったのです!
仕事復帰のちょっと前に、
オットが実家の両親にすーさんを預けて外食に誘ってくれたのです。
「お寿司でも食べようよ!」って。

「…はあ?」って感じです。
「キミは本当に何もわかってない」と。

寿司なぞは赤子を抱きながらでも安全に食べられるのです。
むしろ、育児中の母親のために進化した食べ物が
寿司なのではないでしょうか。
右手でひょいとつまんで、ひとくちでぱくっと食べられる。
万が一ごはんつぶ(醤油付き)が赤子に落ちたとしても
なんの危険もありません。ひょいぱく。
それが寿司!ビバ!寿司!

その対極にあるデンジャーメニューが、
アツアツの汁モノなのです。
特に麺類!ツユが飛ぶ!!赤子に!!
超危険!!!!

だったら赤ちゃんが寝てる隙に食えよ!
とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
そりゃそうです。

しかし赤子というものはどんなにすやすや寝ていても、
母がインスタントラーメンにお湯をそそいで
うきうきの3分が経ったタイミングで目を覚ますものなのです。
うどんに満を持して天かすを投入したタイミングで
いきなりぐずるものなのです!

うう、私のラーメン、私のうどん(天かすはカリカリのうちに食べたい)・・・。

というわけで、私が仕事復帰してまずやったことは
丸亀製麺でアツアツのうどんをはふはふすることでした。
もちろん天かすはカリカリでね!

という話しをニシダさんに熱く語ったところ
「寿司を提案しなくて命拾いした…」と感謝されました。
よかったよかった。

topへ