薄組・茂木彩海

茂木彩海 15年4月26日放送

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colindunn
ねむりのはなし ラリー・ペイジの夢

夢は見るものではなく、叶えるもの。
とはよく言うが、実際に寝ている間に見た夢を
そのまま叶えた強者がいる。

Google創設者、ラリー・ペイジ。

23歳のとき、夢か現実か分からないような生々しい夢を見て、
その途中で、こんなアイデアを思いつく。

すべてのウェブサイトをダウンロードできて、
そのリンク先を記憶しておけたら、どうなるだろう。

のちの検索エンジン、Google誕生の瞬間だ。

母校の卒業式でゲストとして招かれたラリーは、スピーチの中で
後輩達にこんな言葉を残している。

 壮大な夢を実現しようとする人たちの世界は、そんなに競争が激しくない。
 なぜか。同じことをやろうとする人がほとんどいないからです。

夢が目の前に現れたら、迷わずつかむ。
今日から、眠っている間も気が抜けない。

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茂木彩海 15年3月15日放送

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旅のはなし 日本人の旅

庭は限られたスペースに自然を創造し、
盆栽は鉢の上で大木を再現する。

日本の弁当は美しい食卓の縮小であり
俳句はわずか17の文字で森羅万象を表現する。

縮めることや細工することを好む日本人の性質には
「旅」が関係しているという。

他の大陸のように馬車を使わなかった日本人は、
荷物を背負い、山を越え川を渡って歩き続ける、という
原始的な旅をしていた。

そのため
物を縮め、小さくすることに大変な価値があったというわけだ。

細工してないものは「不細工」と非難し、
詰め込まないものは「詰まらない奴」と侮辱した。

見回してみれば当たり前に存在する日本らしさの中に、
旅好きの精神が現れる。

はるか昔から旅の趣を理解し、小さい荷物で出かけた
先人たちの背中を想うと
つい、旅の計画を練りたくなってしまう。

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茂木彩海 15年3月15日放送

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pingnews.com
旅のはなし 小田実の旅

作家であり、政治活動家であった小田実。

東京大学文学部を卒業後、1958年に渡米。
一枚の帰国用航空券と持参金200ドルを握りしめて世界一周旅行に出かけ、
世界のあらゆる人たちと語りあった。

その様子を描いた著書、「何でも見てやろう」は
当時若者達の間でベストセラーになり、
バックパッカーの草分け的存在として今も語り継がれている。

 まあ、もうちょっと、行ってみようやないか。
 ほんとうに未知なものにむかって進むとき、
 人はそんなふうに自分に対して言うほかはない。

単純で大きな好奇心を満たすのに
旅より良い方法は、ちょっと見つからない。

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茂木彩海 15年2月7日放送

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名前のはなし ミッシェル

 ミッシェル マ・ベル
 なんてすてきに響く言葉
 なんだろう

 アイ・ラヴユー アイ・ラヴユー アイ・ラヴユー
 これがぼくの
 いいたかったこと
 なんどでも いうよ 君がぼくを好きに
 なるまで

1965年。ビートルズが、その甘い歌声で名前を呼んだ女性がいた。
「ミッシェル」。
翌年にはグラミー賞を受賞し、
オリジナル曲で初めて、固有の名前を登場させたと言われる名曲だ。

女性の名前を歌う曲は世の中に数多くあるけれど、
そのモデルが誰なのか、はっきり語られないことも多い。

「ミッシェル」もそんな女性のひとり。

大天使ミカエルに由来しているという、この名前。

名は体を表す、と言うが、
どんな瞳で、何に笑って、どんな風に怒るのか。

名前を聴きながら、頭の中でその輪郭を描いてみるが、
彼女がどれだけ天使に近い存在だったか、については
ポールとジョンだけが知っている。

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茂木彩海 15年1月25日放送

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coloneljohnbritt
はじまりのはなし メアリー・ケイ・アッシュ

1年のはじまり。1月。

今年の目標は?と聞かれたり、聞いたりして
考える機会は多いけれど、
実行に移せないこともあるのが、正直なところ。

アメリカで化粧品メーカー、メアリー・ケイを創立し、
わずか9人でスタートした企業を85万人が働く大企業へと成長させた
女性企業家、メアリー・ケイ・アッシュは言う。

 航空力学的にはマルハナバチは
 飛べるはずがないけれど、
 マルハナバチは
 航空力学なんて知らないから、
 とりあえず飛び続けているのよ

このハチは、2センチほどのまるまる太った体に
ふわふわした毛が生えていて、その羽根は小さく、
航空力学的にみると飛ぶのはまるで不可能と言われてきた。

ところが、自分が飛べないことを知らないから、
堂々と飛べるのだ、というのがメアリーの見解。

できないと思うより手前で、飛び込んでしまう。

なにかをはじめる時にはそれくらい無鉄砲なほうが
強いのかもしれない。

1年のはじまり。1月。
さぁ、なにをはじめよう。

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茂木彩海 15年1月25日放送

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はじまりのはなし 柴田元幸

アメリカ文学の研究者、柴田元幸は
書き出しだけをあつめ、自ら新訳を行った世界文学全集の中で、
あの有名な物語のはじまりを、こう訳した。

 私は猫だ。いまのところ名前はまだない。

ひとことで、世界が決まっていく。

だからこそ、物語のはじまりに
作家の力は注がれる。

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茂木彩海 14年12月21日放送

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jjay69
クリスマスのはなし 「ホーム・アローン」のクリスマス

コピーライターから映画界入りしたことで知られる
脚本家、ジョン・ヒューズ。

クリスマスを題材とした作品『ホーム・アローン』で、
主人公の少年にこんな台詞を言わせている。

 今年は僕、クリスマスプレゼントを欲しがらないから、
 その代わり家族を返してください。

ごちそうも、プレゼントも、一人じゃ心は埋まらない。

大切な人と、ただゆっくり時間を過ごす。
そんなクリスマスが、今年はいいかも。

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茂木彩海 14年12月21日放送

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torbakhopper HE DEAD
クリスマスのはなし ナンニモナイクリスマス

パトリック・マクドネルの著書
「おくりものはナンニモナイ」。

特別な日クリスマスに、ネコのムーチが
おもちゃもベッドも、何でも持っている友達、イヌのアールに
プレゼントを見つけにいくはなしだ。

何をあげたら喜んでくれるんだろう。

たくさん考えたムーチはついに
「ナンニモナイ」をプレゼントすることを思いつく。

大きな空の箱をリボンでつつんで
「ナンニモナイ」を詰め込んだムーチは、アールに渡して、言う。

 ナンニモナイ・・・
 きみと ぼくの ほかにはね

なんにもないからこそ、なにかが見える。
大事なものが見えるクリスマスは、きっとあたたかい。

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茂木彩海 14年11月30日放送

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美味のはなし 辻静雄

新聞記者からフランス料理家へ転身した男、辻静雄。

大学卒業後、読売新聞の記者をしていたが結婚を機に退社を決意。
妻の実家が経営する料理学校を手伝うため
鉛筆を包丁に持ち替えて料理の世界に入る。その年、25歳。

今まで洋食と言えば、カレーライスやオムライスだった男が
突然フランス料理の勉学に励むわけだが、
どうもレシピ通りにつくったところで美味しくならない。

辻は実際にフランスへ飛び、美味いと聞いた店には片端から出向いて
シェフと会話をする中で、その本質を学ぶことにした。
フィールドワークは、記者時代に染み付いていた。

帰国した辻が執筆した「フランス料理研究」は、その重量、11キロ。
気づけば、フランス料理の第一人者になっていた。

辻は言う。

 料理の世界だけは自習のきかない世界です。
 誰か相手がいて、その場でこれはどう思うと、と言ってもらわなければ
 全部成り立たない世界なんです。

食べる人の「美味しい」が、料理のおいしさをまた一歩、前進させる。

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茂木彩海 14年11月30日放送

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美味のはなし 東海林さだお

美味とは、食材同士の組み合わせで生まれるもの。

そんな洞察をするのは、
食べ物のウンチク、雑学などを、あらゆる視点でとらえ、
「丸かじりシリーズ」として出版するエッセイスト。
東海林さだお。

彼は堂々と言う。

 イカも大根も、いわゆる“心中もの”として解釈できる。

食卓に並ぶおかずが、
なんだか急にドラマチックに見えてきた。

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