薄組・茂木彩海

茂木彩海 14年3月9日放送

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InfoMofo
からだの話 池谷裕二

こんな実験がある。
一人には、お箸を横にした状態のままくわえてもらい、
もう一人には、お箸を縦にした状態のまま唇ではさんでもらう。
そのまま同じマンガを読んでもらい、その面白さを点数で評価してもらうのだ。

結果、高得点を出したのは、お箸を横にしてくわえた人のほう。

これは、口を横に開くという笑顔に似た状態を、
からだのほうに強制的につくることで
それを脳が「マンガは面白い」と勘違いしてしまうからだという。

最新の脳科学をわかりやすく書籍にし、
講義活動を行っている脳科学者の池谷(いけがや)裕二は言う。

 脳はからだに引っ張られる形で活性化される。
 人間は脳から変わらない。からだからしか変えられないと私は考えます。

脳みそでじっと考えるより、からだを動かして感じるままに。
正直に生活してみると
探していた答えが、案外簡単に見つかるのかもしれない。

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茂木彩海 14年3月9日放送

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Roberto_Ventre
からだの話 國母和宏

現在、アメリカで活躍するスノーボーダー、國母和宏。

体の動きから自然に生まれたスタイルを生かす彼の滑りは、
誰にも真似できないという。

スノーボードにどっぷり浸かって消えていきたい。

からだを信じれば、人生はシンプルに強くなる。

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茂木彩海 14年1月19日放送


しで
誕生にまつわる話 幸田文の種

 心の中にはもの種がぎっしりと詰っていると、
 私は思っているのである。
 ものの種が芽に起き上がる時のちからは、
 土を押し破るほど強い。

幸田文、「崩れ」の一節。

40代で「種」を見つけた彼女は、
父の露伴を看取ったのち、文壇デビューを果たす。

種から発芽し、土を押し上げる誕生の瞬間に、
人は新しい自分を見る。

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茂木彩海 14年1月19日放送


poi beltran
誕生にまつわる話 ピクサー

1986年、スティーブ・ジョブスによって設立されたピクサー。

コンピューターで人間性のある動きを再現できるはずがない。
当時はその可能性に懐疑的なアニメーターがほとんどだった。

ところがその後、「トイ・ストーリー」の発表で世間は肝を抜かれる。

スティーブ・ジョブスという革命児と
ストーリー作りの天才、ジョン・ラセターの力で、
ピクサーは見事にコンピューターをアーティストの鉛筆にすげかえてみせた。

アカデミー賞を4度受賞し、「ウォレスとグルミット」に代表される
クレイアニメーションの第一人者、ニック・パークこう語る。

 ピクサーの映画は
 アートとテクノロジーの幸福な結婚から生まれた子供なんだ。

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茂木彩海 13年11月17日放送


quicheisinsane
アーティストの話 アニエス・ヴェルダ

フランス初の女性映画監督として知られる
アニエス・ヴェルダ。85歳。

ベルギーで幼少時代を過ごし、
第二次世界大戦に逃れて家族でフランスに渡った。

写真家として活動したのち、26歳で映画をつくり、
さらに2003年からはコンテンポラリーアーティストとしても活躍。

80歳半ばにして、3つ目の人生を歩みはじめた。

自分にしか撮れない写真を撮った。
監督した映画が話題になった。
新しい作風にチャレンジした。

誰が聞いてもアーティストらしい人生を送っている彼女だが、
自分の作品をアートと呼ばれるのは、あまり好きではないようだ。

 私は自分の作品を見てもらうのは嬉しいけれど、
 “芸術作品”なんて強制するのは大嫌い。
 重すぎるわ。ケーキに乗るさくらんぼのようなものよ。

無くても大丈夫だけれど、あったらもっと嬉しいもの。

自分の作品をそんな風に気楽に感じられたとき
アーティストはもっと自由になれるのかもしれない。

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茂木彩海 13年11月17日放送



アーティストの話 紫舟

社会人3年目で、夢を追いかけることを決意した
書道家、紫舟。

筆を運んだ痕跡をそのまま鉄のオブジェにしてみたり、
3Dのデジタル処理をしてみたり。
書道家として新しい試みをし続ける彼女には、ある夢がある。

 100年後に見ても新しいと感じさせる何かを持った書を書きたい。

アーティストとしての決意を込め、今日も筆を運んでいる。

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茂木彩海 13年10月27日放送


jordanmit09
おやつのはなし 川端康成のクッキー

日本を代表する小説家、川端康成。
小さなお弁当を4回に分けて食べるほど食が細かったが、
どうも甘いものは別腹だったよう。
急性糖尿病にかかるほどの甘いもの好きだった。

そんな川端が「フランスでも滅多に味わへない本格的な良心的な作品」
と絶賛し、幾度となくおやつにした東京駒込の洋菓子店、カドのクッキー。

初代店主の高田壮一郎は、
日本人としてフランスへの菓子留学を果たした第一号生。
当時から珍しいお菓子がある店として有名だったという。

店内には川端直筆の推薦状が、いまでも額に入って飾られている。

 洋菓子のほんとうを同好の人びとに知ってもらへるのは、
 私の自慢でもある。

この「同好の人びと」の一人は、川端と師弟関係だった三島由紀夫。
彼もまた、カドの洋菓子をよくおやつに食べていたという。

おやつの好みが合えば、2人の絆はずっと深い。

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茂木彩海 13年10月27日放送



おやつのはなし 手塚治虫の漫画

手塚治虫は生前、こんな言葉を残している。

 将来、漫画が子供の”おやつ”から”主食”になって、
 そのうち空気のように偏在する時代がくる。

予想は的中。今や漫画は世界に誇れる文化になった。

手塚先生、
あなたが愛したおやつはちゃんと、日本を支える主食になっています。

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茂木彩海 13年8月18日放送



山のはなし 梅原龍三郎

日本美術界の重鎮。梅原龍三郎。

彼が描いた富士山を見ると、
ただならぬ存在感に思わず後ずさりしそうになる。

紫の山肌、緑の空、赤い雲。
そこには愛が無ければ描けない、山の頑固さと豪快さが描かれている。

そんな彼が富士山を描く時につぶやいた言葉。

 富士はでっかいからはね返されるが、いつかねじ伏せてやる。

キャンバスに描かれているのは絵ではない。
言葉にならない、梅原と富士山との愛ある戦いなのだ。

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茂木彩海 13年8月18日放送



山のはなし 植村直己

日本人初のエベレスト登頂を果たした植村直己。
彼はこんな言葉を残している。

 あきらめないこと、どんな事態に直面してもあきらめないこと。
 結局、私のしたことは、ただそれだけだったのかもしれない。

夢という目標を決め、人生の山をひたすら進む。
生きることは、それくらいシンプルでいい。

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