表現する男 志村喬
ニューヨークタイムズで「世界一の名優」と評された男、志村喬。
黒澤映画のほぼすべてに出演し、
映画『生きる』では胃ガンを宣告される市役所員を
頬骨が浮き出るまで減量して熱演。
撮影中は自身も胃潰瘍になるほどその身を追いこんでいた。
そんな志村の言葉。
役者に完成はない。
どんな自分にも満足しないストイックな一面が
黒澤に愛された理由なのかもしれない。
theseanster93
表現する男 ライアン・ラーキン
25歳で、アカデミー賞短編アニメーション賞、ノミネート。
28歳で、メルボルン映画祭グランプリ獲得など、
瞬く間にその名を轟かせたアニメーション作家、
ライアン・ラーキン。
7年間で、たった4本の短編映画を残し、ホームレスとなった伝説の男。
彼が再びアニメをつくる勇気を取り戻したのは
映画祭のディレクターが、彼の路上生活を偶然知り、
審査員として呼び寄せたことがきっかけだった。
他の審査員たちは年老いたライアンを不審に思っていたが、
ある晩、審査員自身が作った作品を互いに鑑賞する上映会で事態は一変。
ただ人が歩くだけの、わずか5分の短編に、全員が感動のあまり言葉を失った。
その作品こそラーキンの傑作、『ウォーキング』だった。
私は永遠に生きたいんだ。
自分の身体でなくてもいい。
みんなの心のなかでいい。
彼が亡くなってもうすぐ5年。
その願いは、今でもちゃんと叶っている。
うっち~
表現する男 笹井宏之
その男は、短歌という短い詩を書いた。
寒いねと言ふとき君はあつさりと北極熊の目をしてみせる
魂がいつかかたちを成すとして あなたははっさくになりなさい
午前五時 すべてのマンホールのふたが吹き飛んでとなりと入れ替わる
清いものになりたいといういっしんでピアニカを吹き野菜を食べる
歌人、笹井宏之。26歳の若さで突然この世を去った。
ありがとう。
ことばで世界がつくれることを、あなたは教えてくれました。