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桜のはなし 桜色の着物
お酒を飲みながら目で楽しんだり、
桜餅にして舌で味わったりするのと同じように、
布を桜色に染め上げて、着物にする。
これも昔からの日本の習慣だ。
桜の染色に必要なのは、意外にも花びらではなく、樹皮や、枝。
綺麗な桜色に染め上げるには、
桜が咲く前の木を使うのが一番だという。
その理由について、染織家で人間国宝でもある志村ふくみは言う。
1年間じっと色を貯めていた桜の幹に宿した、生命の色をいただく
ほのかに色づく桜色を身にまとえば、
儚い命の力を借りて、春の喜びをより一層感じられるだろう。