薄組・薄景子

石橋涼子 19年8月11日放送



太陽のはなし ゲーテと太陽

ドイツの文豪ゲーテは、多くの名言を残したが、
総じて、人の持つ感覚の前向きな部分を
肯定する言葉が多いことでも有名だ。
そんな彼の言葉。

 太陽が素晴らしいのは、すべての塵を輝かせることだ。

午後の昼寝から目覚めると
カーテンの隙間から差し込む太陽の光が
塵をキラキラと照らしている。
そんな風景に覚えはないだろうか。

空気中には塵や埃が意外と多いと驚くこともできるが、
見方を変えれば、
塵のように取るに足らないものだって
光の当て方ひとつで輝いて見える、と思うこともできる。

ここはひとつ、ゲーテの言葉を信じて
明るい方を向いていきませんか。

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薄景子 19年8月11日放送



太陽のはなし 太陽という万能薬

イタリアのことわざに、こんな言葉がある。

 陽が差し込まぬところに医者がくる。

逆を言えば、陽が差すところに医者はこない。
そう。太陽には、人間を健やかに保つ、
計り知れない力がある。

朝の光を浴びれば、体内時計がリセットされ、
眠気は覚め、夜の眠りの質も高められる。

また、太陽光を浴びることで、「幸せホルモン」といわれる
セロトニンの分泌が促され、鬱々とした気分も晴れる。

さらに、日光浴はビタミンDの体内生産を促し、
脳機能の維持、情緒の安定、骨粗しょう症の予防など
さまざまな効果をもたらすという。

太陽はすべての命を輝かせる万能薬。
美白ブームで忘れられがちな
その恩恵に、あらためて感謝したい。

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熊埜御堂由香 19年8月11日放送



太陽のはなし 太陽常温説

真夏の日本を焦がす太陽。
その表面温度は6000度もの高温と言われている。
でも、それを確かめに行った人間はいない。
実は、太陽の表面温度は26度程度とする
「太陽常温説」を唱えている学者もいるのだ。

太陽により近い上空が、地上よりも低温なのはなぜか?
18世紀に、天王星を発見した天文学者、
ウィリアム・ハーシェルが疑問に感じ、最初に唱えた。

正直、こんなに暑いのに、
それが太陽の放つ熱の仕業でないとは思えないけれど。
太陽みたいな絶対的な存在さえ疑ってみる。
その知的好奇心があれば、事の真偽を確かめるため
人類が、太陽へたどり着く日もくるかもしれない。

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若杉茜 19年8月11日放送



太陽のはなし たんぽぽのお酒

レイ・ブラッドベリの名作、『たんぽぽのお酒』。

少年ダグラスの目を通してみた、1928年のひと夏が描かれた小説だ。
彼の見たみずみずしい夏は、太陽が昇るシーンから始まる。

夏の始まり、丘の上から「みんなおきて」と街の人々に呼びかけるダグラス。
さながら、指揮者のように。
最後にダグラスがパチン、と指を鳴らすと
太陽がゆっくりと昇ってくるのだ。

たんぽぽのお酒は、小説の中で夏の間毎日作られる。
そして、1日1日のラベルを付けて、夏の終わりには棚にずらりと並ぶ。
1928年の太陽が注がれたお酒は、いったいどんな眩しい味がするのだろう。

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石橋涼子 19年6月30日放送



半分のはなし 半分のカタカナで

データ容量の単位に「ギガバイト」「テラバイト」が
当然のように使われている昨今だが、
誰もが知っているRPGゲームの草分け
初代「ドラゴンクエスト」は、その容量、わずか64キロバイトだった。

容量削減のための工夫のひとつとして、
なんと、カタカナの半分を制限したという。
あの独特の呪文やモンスターの名前はすべて、
わずか20個のカタカナで構成されている。

たった半分でできることも、前向きに挑戦すれば
意外とたくさんあるのかもしれない。
さあ、2019年も、残り半分です。

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石橋涼子 19年6月30日放送



半分のはなし 残り半分への心構え

マラソンでは、42.195キロの中間地点付近に
折り返し点が置かれることが多い。

急なターンを走り抜けるために
意外とパワーが必要なポイントだが、
辛かった向かい風が追い風に変化したりもする。

無事に折り返しを過ぎれば後半戦。
希望が見えてくるだろうか。
それでもまだ半分かと、絶望するだろうか。

マラソンの起源は、
古代マラトンの戦いで伝令係が走ったと言われている距離。
もちろん中間地点の案内などはなかった。

希望でも絶望でも、残り半分への心構えができるのは
ありがたいことかもしれない。

今日6月30日は、2019年の中間地点。
今年の後半戦が、始まりますよ。

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小野麻利江 19年6月30日放送



半分のはなし スタンダールの恋と情熱

僕の魂は、もし燃え上がらなければ苦しむ業火なのです。

フランスの小説家・スタンダール。
『赤と黒』の作者として知られる彼の生涯は、
いくつもの情熱で彩られていた。

7歳の時に失った、母への渇愛。
ナポレオンへの、心酔。
そのナポレオンの遠征軍に参加し
ミラノの土を踏んだことで、
イタリア人のような生き方に傾倒したこと。
女優から人妻に至るまでの、数々の恋愛。
そして、ミラノでの
マチルデ・デンボウスキとの実らぬ恋…

憧れと絶望を繰り返しながらも、
スタンダールは生きて、書いて、そして愛した。
彼は、こんなことも言っている。

 情熱を持って恋したことのない人間には、
 人生の半分、それも美しいほうの半分が隠されている

美しいほうの半分も、醜いほうの半分も。
知りつくした作家だからこそ、
作品たちは、今も色あせない輝きを放っている。

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茂木彩海 19年6月30日放送



半分のはなし シラーの友達

ドイツを代表する詩人、シラー。
日本人には馴染みのない名前かもしれないが、
ベートーヴェンの交響曲第9番「歓喜の歌」の
大元となる「自由讃歌」の作詞を行った人物である。

22歳の時に匿名で発表した処女作では
権力に抗う犯罪者を主人公にした物語に多くの若者が熱狂。
このことがきっかけで貴族から追われる身となり、亡命生活へ突入する。

困窮する生活を支えたのが、大親友、ケルナー。
彼を想ってか、シラーはこんな言葉を残している。

 友情は、喜びを二倍にし、悲しみを半分にしてくれる。

素敵な半分こが、彼の人生を支えていた。

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薄景子 19年6月30日放送



半分のはなし モンゴメリの言葉

今年もあっという間に半分が終わり
気がつけば、夏休みはもうすぐそこ。

旅をするならどこに行くか。
誰に会いに行くか。
そんな計画を立てている時間も
楽しみのひとつ。

「赤毛のアン」の作者、
ルーシー・モード・モンゴメリは
小説の中で、こんな名言を残している。

 何かを楽しみに待つということが、
 そのうれしいことの半分にあたるのよ。

 そのことはほんとうにならないかもしれないけれど、
 でもそれを待つときの楽しさだけはまちがいなく自分のものですもの。

なるほど。
実現できるかはさておいて
今年は最高の夏休みを妄想してみよう。
楽しみを待つ時間を、思いっきり楽しめば
人生は2倍楽しめるのだから。

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熊埜御堂由香 19年6月30日放送



半分のはなし ハーフバースデー

赤ちゃんの6ヶ月の誕生お祝いをする、
ハーフバースデーが流行っている。
元々は、アメリカやイギリスの習慣だ。
子どもの誕生日が、学校の長期休暇と重なった時に、
半年前後に、友達も呼んでお祝いをしていたことからきている。

成長をみんなで見守りたい。
その心は日本版、ハーフバースデーも同じ。

ちょうどその頃、寝返りがうてるようになって視野が広がる。
授乳に並行して離乳食も始まり、食への興味も生まれる。
生まれたての赤ちゃんを守っていた母親からの免疫が、
切れて、病気にかかりやすくなる時期とも言われる。
まさに、自立の半歩を踏み出す、ハーフバースデー。

1年待たずに祝福したい、
赤ちゃんの命の輝きがその時間には満ちている。

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