照井晶博 2011年6月12日


猪苗代湖ズについて   
            ストーリー 照井晶博
               出演 地曵豪

ふくしまに ふくしまに ふくしまに

置いてきたんだ 僕は 本当の自分を



ふくしまで ふくしまで ふくしまで

愛したいんだ 僕は 本当の君を

明日から 何かがはじまるよ ステキな事だよ

明日から 何かがはじまるよ 君のことだよ

I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま

I want you baby 僕らは ふくしまが好き 

I love you baby ふくしま I need you baby ふくしま

I want you baby 僕らは ふくしまが好き

いま読み上げたのは、
猪苗代湖ズの「I love you & I need you ふくしま」の前半の歌詞だ。
福島出身の4人が、故郷を思い、歌う、応援歌。
収益の全額を福島県に寄付するそのしくみもさることながら、
地方出身者のひとりとして、冒頭の歌詞、
「置いてきたんだ 僕は 本当の自分を

」の部分に、
まず心のどこかをさわられる感覚がある。

ぼくにも間違いなく、故郷に残しているものがある。
まず、両親。そして、いまより確実にダメで無力だった頃の自分。
だからだろうか。
帰省するといまだに、妙な居心地の悪さを感じてしまうことがある。
置いてきたはずの自分と向きあうからなのか。
それが本当の自分かどうかはよくわからないけれど。

あの日以来、いいことを言おうとする広告や、
必要以上に人を励まそうとする広告が増えた気がする。
それだけのことがおきたのだ。
当然のことだ。
そう思う一方で、誰かを広告で励まそうという気持ちが、
送り手側の自己満足や一方的な押し付けで終わってしまう
可能性すらあることに、やはり自覚的でありたい、と思う。

「I love you & I need you ふくしま」
この歌には「ふくしま」という言葉が36回も出てくる。

人が、誰かに言われていちばんうれしい言葉。
それはきっと、自分の名前だ。
誰かに、愛とか好意を伝える最も強くてまっすぐなコミュニケーションは、
その人の名前を呼ぶことからはじまるし、
ひょっとすると、本当はそれだけでじゅうぶんなのかもしれない。

「I love you & I need you ふくしま」
この歌は、とてつもない決意と覚悟の歌だ。
「ふくしまが好き」と歌うその「好き」という言葉に、
ぼくは、その全存在をまるごと一生引き受けていくんだという
強烈で壮絶でひたすらに重い、決意と覚悟を感じる。

そして考える。
自分にとっての「love you & I need you」を。

猪苗代湖ズの「I love you & I need you ふくしま」
まだ聞いたことない人がいたら、
YouTubeにアクセスして聴いてみてください。
博報堂時代の同期、前田康二くんがつくったPVもとてもいいです。
そして、曲がいいな、とか、いい試みだな、と思ったら、
ぜひダウンロードするか、CDを買ってください。お願いします。

出演者情報:地曵豪 http://www.gojibiki.jp/profile.html


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