茨木のり子
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは椅子の背もたれだけ
詩人・茨木のり子の代表作、「倚りかからず」だ。
いつだって毅然と、凛々しく。
のり子の詩は、硬いダイヤモンドのような。
ある時、夫が病に倒れた。
看病をするのり子に、夫は聞く。
「苦しくはないか」
のり子は答えた。
「惚れておりますから」
のり子の恋は、可憐なエーデルワイスのような。
彼女はこっそり、言っていた。
「本当に大事なことは、詩には書かないの。」
赤塚不二夫
天才にも、スランプはあった。
昭和31年のこと。
漫画家を志し、トキワ荘に移り住んだ一人の青年。
ほんとはギャグ漫画が描きたかった。
でも、思うように描けない。描けない。
彼は、漫画を捨てようと思った。
そのとき、4つ上の先輩である寺田ヒロオはこう言った。
「スランプか?でも、君はまだ、スランプになるほど漫画描いてないだろ。」
おそ松くん、ひみつのアッコちゃん、天才バカボン
後に、この悩める青年が生み出すことになるキャラクターたち。
天才漫画家・赤塚不二夫。
スランプも限界も、自分で決めただけのこと。