アントニオ・ストラディヴァリ
いつからか私たちは、
呼吸するかのように電気を使い
携帯電話に縛られ、
パソコンに囲まれ、
毎日を生きている。
だからこそ、この音色を耳にすると
無類の喜びを感じるのでしょうか。
アントニオ・ストラディヴァリ。
彼の手掛けた数々の楽器は
今もなお音楽の世界を支配しています。
そうか。
21世紀になっても
私たちは、ルネサンス時代の技術を超えられないんだ。
そう思うと、なんだか痛快ではありせんか?
今日、6月6日は、楽器の日です。
ジャクリーヌ・デュ・プレ
ジャクリーヌ・デュ・プレ。
天才と呼ばれたチェリストは
わずか42歳で、その生涯に幕を下ろしました。
彼女が亡くなった翌年、
透き通るような白い花を咲かせるバラに
こんな名前が付けられています。
ジャクリーヌ・デュ・プレ。
伝説になり、花にもなった、チェリスト。
今日、6月6日は、楽器の日です。
習い事は6歳6ヶ月の6月6日から始めると上達する。
そんな言い伝えがあります。
ジャクリーヌが音楽の道を志したのは、
ラジオでチェロの演奏を聴いたとき。
まだ4歳でした。
ジネット・ヌヴー
情熱を音に変えるヴァイオリニスト、ジネット・ヌヴー。
ある人は、彼女の演奏を聴いて、こんな言葉を残しています。
ジネットは、聴く者を催眠にかける。
だから聴衆たちは思わず信じてしまうのです。
この曲にはこの解釈しかあり得ない、と
それもそのはず、まだ10歳のころ
ジネットは、ヴァイオリンの先生に言いました。
わたしは、自分が感じたようにしか、弾けません
今日、6月6日は、楽器の日。
たまには、思うまま楽器を演奏してみませんか。
ジネットのように、自由に。
ディヌ・リパッティ
誰かが、彼のことを、地上の天使だと言いました。
どこまでも透明で、
繊細で、完璧なメロディ。
ルーマニアが生んだピアニスト、ディヌ・リパッティの演奏です。
優れた曲に対しては、尊敬ではなく、愛しなさい
そんな言葉を残し、33歳の若さでこの世を去りました。
今日、6月6日は、楽器の日。
しばらく、この音色に身を任せましょうか。
彼の紡ぎ出す愛を感じながら。
マルセル・モイーズ
水曜日にコンサートが終わると、
車を飛ばし、木曜日の朝には580キロ離れたジュネーブへ。
その日の午後は生徒たちのレッスンに費やし、
夜になればまたパリに向かう。
金曜日、朝9時のリハーサルに辛うじて間に合う。
フルートの巨匠と言われる
マルセル・モイーズは、教育にも情熱的でした。
いや、独創的と言うべきでしょうか。
この言葉を聞けば、彼がいかに魅力溢れる指導者だったか、わかります。
メトロノームを、朝食のメニューに加えなさい
今日、6月6日は、楽器の日です。
ジョージ・ルイス
クラリネットは、歌うものだったんだ。
ジョージ・ルイスの演奏を聴くと、そう思えてきます。
1963年に初来日。
本場のニューオリンズ・ジャズが、日本人を熱狂させました。
のちに彼は、若いミュージシャンに、こんな言葉を残しています。
Keep playing. とにかく演奏し続けることさ
今日、6月6日は、楽器の日。
もしも、むかし諦めた楽器がそばにあったら、
もう一度、触ってみませんか?
アマティの行方
コントラバス奏者で、のちに指揮者になったセルゲイ・クーセヴィツキー。
どこのオーケストラにも属さない、
コントラバスのソリスト、ゲーリー・カー。
64歳も離れた
このふたりを結びつけたのは、
コントラバスの名器、アマティでした。
ある日、ゲーリーの演奏に感動したセルゲイの未亡人は、
亡き夫のアマティを譲ります。
第一線から退くまで、ゲーリーは、その名器だけを使い続けました。
今日、6月6日は、楽器の日。
名人に愛された楽器は、愛すべき者に渡り、また愛されていく。