ぐりとぐらと中川李枝子
おとなが思うより、こどもはおとなの策略に敏感。
教育にいいとか、教訓になるとか、
そんなことには
ぷいっとよそを向いてしまう。
だから、
「ママ、なにか読んで」といわれたとき
こんな絵本はいかがでしょう。
ぼくらのなまえは ぐりとぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
二匹のねずみが主人公。
40年以上も愛されつづける絵本「ぐりとぐら」。
作者の中川李枝子さんはいいます。
本で何かを教えようなんてしてはいけないと、私は思うの。
楽しめれば、それでいいのよ。
そうか、だから子供と仲良しなんですね。
笑福亭鶴瓶
アイツは、いい人じゃなくて、
いい人だと思われたい人なんだよ。
そう言ったのはタモリ。
アイツとは、ご存じ、笑福亭鶴瓶である。
本人みずからこんなことを言う。
子供が「ツルベ!」って言ってくれるのは、
「ツルベ!」って言ってもらおうと思ってやってることなの。
だから自然じゃないよね。
だけど、そうやってることが三十八年続くと、もう自然なの。
だからよう言うの。
俺、ホンマにどんな性格かもわからんようになってもうたって。
芸歴38年。いい人でいることも、鶴瓶の芸のひとつ。
ナンシー関
オリンピックがはじまる前に
「感動をありがとう」っていう
番組編成しちゃうのがすごいよ。
消しゴム版画家にしてテレビ評論家、ナンシー関。
テレビの向こうに、ぼんやりと感じる違和感。
そのあいまいなものの正体を、
4センチ角の消しゴムと、原稿用紙のマス目の中に、
ナンシーは刻みつけた。
見えるものしか見ない。
しかし目を皿のようにして見る。そして見破る。
そんな目が私にも欲しい。
花森安治(はなもりやすじ)
ある家庭のみそ汁の作り方を改めさせるほうが、
内閣の一つ二つを倒すより難しい。
それは花森安治の口ぐせだった。
もっと暮しを大切にとの思いを込めて
戦後まもなく創刊された
雑誌「暮しの手帳」の編集長。
実は花森、戦時中は国の標語の
開発にかかわっていた。
「ほしがりません、勝つまでは」
という有名な標語も花森がつくった。
でも、ある日のこと。
「贅沢は敵だ」と書かれたポスターに
一文字の落書きが見つかる。
「贅沢は素敵だ」
犯人は花森だという噂が流れた。
ほんとうだとしたら、なんて素敵。
誰より言葉のちからを信じた、
誰より言葉のちからを恐れた、
反骨とユーモアのひと、花森安治らしい。