海のむこう、広告のむこう。~細田高広 後篇
エスプレッソとユンケルに染まる激闘の行く末は。
細田さん、後篇です。
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だいぶ時間を空けてしまいましたが、ヤング・ライオン参戦記の続きです。
【2日目】
ヤングライオンブースと呼ばれる場所に行くと、
大きな部屋がパーティションで区切られていました。
日本の国旗のついた一角を発見して、いよいよ作業開始。
朝9時から、20時まで粘ります。
【3日目】
昨晩からプレゼンの練習と、質疑応答の想定問答を
繰り返しているので、ぜんぜん寝られていません。
プレゼン前の緊張で、朝ごはんが食べられてません。
ふらふらになりながら、プレゼン会場の前で待つこと10分。
目の前のドアが開き、日本チームが呼ばれました。
審査員は、クライアントと世界のエージェンシーの偉い人たち(確か5人)。
さぁプレゼンです。
ここで、お題の復習
クライアントは、WFP(国連世界食料計画)。
途上国の小学校に給食を送る活動を行っている団体です。
ターゲットは、先進国の子どもたち。
普通に「寄付しよう」なんて言っても子供たちは振り向くわけない。
だから僕たちは、先進国の子どもたちの関心がある
テーマと繋げる必要があると思いました。
で、浮かんできたのが先進国の子どもたちの「肥満」の問題。
先進国の肥満と、途上国の餓餓を結びつけられないか。
コンセプトは、「FLAT THE WORLD WEIGHT」(世界の体重を平準化せよ)。
こどもたちが痩せた分だけWFPに寄付されるという、
寄付の仕組みをつくりました。(詳細は割愛。)
キャンペーンは、太っちょたちが世界の子どもを救う
ヒーローストーリー仕立てです。
プレゼン中、コンセプトの部分に関しては、ものすごくいい反応でした。
「ほうほうほう」と身を乗り出して聞いてくれているのが分かりました。
一方で、終盤になるにつれて、審査員がちょっと難しい顔になったのにも気が付きます。
プレゼン後の質疑応答。
審査員A 「いいアイデアだと思う。ただ一点気になるんだ。
この企画は、WFPという国連団体のトーン&マナーにあっているかな?」
僕 「今までのトンマナは真面目過て、子どもたちに興味をもたれないと思ったんです」
審査員A 「うーん・・・」
審査員B 「太っちょたちは、気分を悪くしないかい?」
僕 「いえ、むしろ彼らを勇気付ける活動にしたいと思います」
そして、その日の夕方に結果が発表され、見事「敗戦」が決まるのです。
グランプリはオーストラリアチームの「Abolish the penny」(ペニーをなくせ)。
世界の各国の最小単位のコインを絶滅させよう、というキャンペーンです。
明日すぐにできる実現性、コストパフォーマンス、提案性、
などが総合的に高評価だった模様。
ショックでした。
求められていたことは普段の仕事と変わらないというのに、
「カンヌだから」「コンペだから」と、プレゼン映えする大きなアイデアばかり
追いかけていたことに気付かされます。あぁ、僕らはなんと浮き足だっていたのでしょう
批評の対象としての「広告」ではなく、ビジネスツールとしての「広告」を評価する。
そんなカンヌ全体の流れが、ヤング部門にも押し寄せていたとも言えるかもしれません。
あれから一月たちますが、未だに思い出すと胸がヅキッと痛みます。
高校3年生の夏、剣道部の引退試合以来です。こんな気持ち。
あ、さらっと書くつもりが、
随分ダラダラと長くなってしまいました!
以上で、ヤングカンヌ参戦記、終わりです。
太っちょが傷つく、またはいじめられる原因になると思われたのかしら。
そうみたいです。国連団体ということもあって、特にデリケートなのだそうです。未熟でした。
わかるような気がします….
おつかれさまでした。
負けはしたけど
すごい経験ですね。