五島のはなし(29)
青い海、青い空、そして根が怠惰な私。
この3つの要素がそろって、どうやって、
島でわざわざパソコンの前に座れるというのでしょう。
空港に着いたその1時間後には海で釣り糸を垂らしていました。
それからというもの海、海、海、墓、海、墓、海、となりの島の海、また海、
みたいな生活をしておりました。8日間の滞在で15回は海に行ったんじゃないでしょうか。
ちなみに「墓」というのは、五島ではお盆の3日間、
ほぼすべての島民が墓に集まるので、そのことを指しています。
あまりに遊びすぎたのと、東京での暮らしに戻れるか心配なのとで、
帰りの飛行機に乗る2時間くらい前から具合が悪くなり、
うんうんうなってました。そして昨夜遅く帰京。今日から出社。一日中廃人でした。
毎年、夏の五島から帰ってくると重い気分になります。
「なぜ自分は東京で働いているのだろう?」なんてことを考えてしまうわけです。
そんなに都会にあこがれているのか?
赤坂見附を「みつけ」と呼ぶ時の優越感にひたりたいのか?
島に帰って何の不都合があるのか?
夢をあきらめるのがイヤなのか?そもそも夢なんか持ったことないだろ?
バカみたいな自問自答を一日中してました。
帰省するまでは、仕事に対してのモチベーションが高く、
職場でどんな仕打ちにあおうと、
おれは「雨だれ石をも穿つ」の雨だれなんだ!くらいの勢いだったのに。
今日は精神が干からびたミミズみたいになってました。
さっき、家に帰ってくる電車の中で「夢見るヒコーキANA」のCMが流れていて、
僕はあのCMが好きで、そのとき、あ、そーだ、おれは
いい広告がつくりたくってここにいるんだと思い出して、
それでちょっと救われたのですが。
・・・ああ、だれか私をビンタしてください。
ともあれ、厚焼玉子さんが書いてくれた「チャンココ」のことだけ
今日は書いておきます。
チャンココは念仏踊りです。
「チャン」という鐘の音、「ココ」という太鼓の音から来ているとは聞いたことがありましたが、
厚焼玉子さんが書いてた「韓国語でチャンゴ=太鼓」は知らなかったです。
ただ、韓国にそういう踊りがあるかというと、ないらしく、
島にいる時もちょっと調べてみたのですが、ルーツはわからないようです。
お盆になると商店や家をまわって若者たちが踊ります。
念入りに踊っていれば、そこは初盆の家です。
チャンココの踊りが受け継がれているのは特定の地域だけで、
僕自身はその地域に生まれ育っていないので、踊ったことがありません。
子どものころはただ「お盆になると見かける踊り」としか思ってませんでしたが、
年をとると、死んでしまった親しい人たちの記憶と結びついて
切ない気分をもたらす踊りになってます。
五島はお盆が一大事です。
島の人口が3倍くらいになっているんじゃないかと思います。
五島のお盆については、また明日書きます。
韓国の太鼓踊りって多いですよ。
羽根付き帽子かぶったり、
長いリボンつき帽子をかぶってリボンを振りまわしたり
いろんな技があるようです。
なるほど。
南方系の踊りなのでは?という説も
読んだことがあるのですが、チャンゴは似てますもんね。
ただぼくは、いま頭が五島原理主義的になっていて、
逆に五島で発生した言葉や文化が大陸に伝わったと思ってます。
踊りも五島から。チャンゴも五島の「チャンココ」が変化した言葉。
すべてのものは五島から・・・なわけないか。
五島中心主義になっているのが五島らしいのだろうか…