五島のはなし(30)

五島では8月13,14,15のお盆の3日間、
夕方になるとみんながお墓に集まります。

通常、まず12日にお墓に行って、墓石や敷地の大掃除をやって、
それから「灯籠掛け」と呼ばれる、木材でできた枠組みを
墓石の前、もしくは墓石を囲むように組み立てます。
そして13日には、その灯籠掛けに提灯をぶらさげて灯りをともします。

灯りをともしたら、線香をたてて、そのあとは親戚のお墓に
線香をたてに回ります。
それぞれの親戚のお墓にもそれぞれの家族が集まっているので、
近況を報告しあい、だらだらとしゃべります。
おじさん、おばさんが元気にしてたのか、
いとこたちが今どこで何をやっているのか、
甥や姪やはとこたちはどのくらい大きくなったのか、
いまどこで魚が釣れているのか、
を知る場であり、新しい孫たちのお披露目の場でもあります。

子どもたちは話なんかに興味はないので、
みんな花火をやってます。墓の敷地の中で、
すべての子どもが花火をやっているので煙くってしょうがありません。
爆竹がひっきりなしに鳴り、矢がびゅんびゅん飛ぶので
ご先祖様もさぞ落ち着かないだろうと思うのですが、
とにかくそういう感じです。子どもらはお年玉のように
親戚から「花火代」をもらいます。
僕も子どものころはこの花火が楽しみでなりませんでした。
が、いまは煙くてうるさくてしょうがありません。

そうやって、だいたい夕方5時過ぎから7時過ぎまで、
だら~っとお墓にいます。お墓は海のそばか、河のそばか、
お寺のまわりかそんなとこに広がっていて、
たくさんあるお墓のほぼすべてが提灯で覆われているので
日が暮れて、墓のあたりを遠くから眺めると、とてもきれいです。

ひときわたくさんの提灯をともしている墓は、
この1年に家族の誰かが亡くなった家(初盆)の墓です。
初盆を迎えた家族は、まわりの人たちが帰った後も墓に残っています。
僕ももう何度か初盆を経験しましたが、
真っ暗になっても、もうちょっと墓にいようよ、という気分になります。

  • 灯籠掛け

    灯籠掛け

  • 初盆の家は遅くまで

    初盆の家は遅くまで

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コメント / トラックバック 5 件

  1. 厚焼玉子 より:

    お墓=集会場なわけですね。明るい墓参りですね。
    薮蚊はいないのでしょうか?

  2. 中村直史 より:

    蚊は花火の煙で追い払います。
    それでも刺されますが。
    あと、線香、ろうそく、花火のいずれかで
    誰かが毎年やけどします。
    今年僕の父はズボンを燃やし、
    それを手で消した僕は手をやけどしました。

  3. 厚焼玉子 より:

    ズボンが燃えるですって!!
    大昔うちに遊びに来た役者Aが風呂に入っているときに
    役者Bが連発タイプの花火を役者Aにめがけて発射したことありましたが
    それでもヤケドはしなかったようですよ。(見てませんが)

  4. 中村直史 より:

    父は地面に立てたロウソクの火に
    気付かずに、まさに火の上にズボンが
    来る姿勢で作業をしてました。
    けっこう勢いよく燃えたので焦りました。

  5. 厚焼玉子 より:

    まあ、私もパジャマを燃やしたことありますし….

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