Vision収録見学記(9)
石橋涼子―再び現場へ
そのころ収録現場では、
「男の人の涙って、理屈っぽくって、うすっぺらで、ダメね」
という言葉は、男性否定に飛びすぎでは?という意見が出ていました。
原稿を書いているときは、否定的なニュアンスにならずに
仕上げられるかと思っていたのですが、
Vision制作チームのみなさんとあーでもないこーでもないと
話し合っているうちに、もっと違うシメ方もあるなと思い直しました。
ドラとピカソの涙を比較してみるとか、
女の涙も男の涙も等しく肯定してみるとか、その場でうんうん考えました。
考えているうちに、個人的な恨みはさておき
「やっぱり涙に理屈っていらないんじゃないかな」
という自分の気持ちは変わらないことに気づきまして。
最終的に
「涙に理屈なんていらないのに」
という言葉で収録していただきました。
現場で迷うといつも、他のスタッフを不安にするかしらとか
現場の貴重な時間を私のせいで・・・とか
良からぬことを考えてしまうのですが。
Visionの現場は誰もが意見を言える雰囲気で、
つまり私も自分の意見をばんばか言えるし言わなきゃいけないし、
という、とてもとても有意義な雰囲気。
ぐずぐず悩むヒマがあったらコピーを1本でも多く書くべし!
と、コピーライターとして当然といえば当然のことを
胸に刻んだ一日でありました。
余談ですが、私はアイスクリームを落としただけで泣きますが、
みなさまいかがお泣きでしょうか。 (つづく)