バリ島見聞録(2)
バリの玄関口であるングラ・ライ空港に午前0:01分に到着。
香辛料に似た独特の香りが旅の情緒を引き立たせてます。
しかし、入国審査時の長い列での疲れきった旅行者達の
くだけた服装と死んだ目が集団移民を思わせたり、
照明の異様な暗さがテリーギリアムの映画「12モンキーズ」を思い起こさせて、
南国の楽園に来たというのにさっそく心細くなってしまいました。
現地のスタッフにピックアップされ、
初めてのバリということで、少し遠回りをして
繁華街であるクタ、レギャンのメインストリートを
通ることになりました。
クタ、レギャンのメインストリートは、
原宿・竹下通りのような細い道にテンションの高い
六本木の外人が大挙して現れた感じで騒々しく、
深夜にも関わらず、一方通行のその道は渋滞が起こっていました。
ゴミの散らかった道路に面したいくつかの飲食店は、
爆音でユーロビート系のテクノがかかっており、
店に雇われているであろう男女が道行く人を
挑発するように体をくねらせていました。
芸術、伝統芸能、田園風景、神々そしてナシゴレンと
思い描いていた楽園のイメージとはほど遠く、
良識人がバリの変化に対して警鐘を鳴らしていたことの一端を
バリについて1時間もたたずで感じてしまいました。
その後、泊ることになっているバリの中心部にあるウブドへ。
先ほどの喧噪と打って変わって、暗闇と静寂の一本道をひたすら北上。
その行程で、道の両脇に無数の石像が並んでいる一画がありました。
10分たっても途絶えることのない、車のライトで不気味に照らされた石像群は
異空間に繋がる道の憲兵のように思え、
このまま地獄にいってもおかしくないなぁと変な覚悟をもちました。
一時間弱のドライブを終え宿へ。
外から漏れるカエルの鳴き声と虫々のぞあぞあする存在感のせいで
なかなか寝付けませんでした。
(つづく)