「葛飾北斎」
葛飾北斎の偉大さを
僕たちは知っている。
かのゴッホにも影響を与えた偉大なる画家。
アメリカの雑誌「LIFE」の特集
“この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人”に
日本人としてただ一人選ばれた男。
では、
本人の自己評価は
どうだろう。
この世を去る間際に、彼は言った。
あと5年あれば、本物の画家になれるのに。
葛飾北斎、享年90歳。
願わくば95歳の彼が描く
真の大作を見てみたかったものだ。
「宮武外骨」
明治の時代、
宮武外骨という名の
ジャーナリストがいた。
権力の不正と矛盾を
風刺する記事を書きつづけ、
処分をうけること29回。
投獄されること4回。
けれども彼はひるまない。
自叙伝のタイトルには
“予は危険人物ナリ”
とつけた。
宮武外骨。
“名は体を現す”の言葉どおり、
生涯彼はユーモアと反骨心を
忘れることはなかった。
宮武外骨。
ちなみに本名である。
「マーク・ジェイコブス」
誰もが認めるものほど
タイクツなものはない。
その意味で
ルイ・ヴィトンの
アート・ディレクター、
マーク・ジェイコブスの
生みだすものは、
いつもおもしろい。
落書きだらけのバッグ。
穴だらけのモノグラム。
彼のデザインには、
もれなく賛否両論がつきまとう。
でも、
“落書きのバッグなんて悪趣味だ!”
なんて批判は
マークにとって
褒め言葉にしかならない。
彼はこう言う。
醜悪さも、極めればクールだよ。
「向田邦子」
“男性鑑賞法”
かつて女性誌に
連載されていた
生々しいタイトルの
この随筆。
著者は、かの向田邦子である。
政治家、歌手、役者、料理人・・・。
毎回、
第一線で活躍する男たちを
取り上げては、
彼女ならではの鋭い観察眼で
分析を加えていた。
そんな向田邦子にも
夢中になった相手がいる。
その存在について、彼女はこう語った。
偏食・好色・内弁慶・小心・テレ屋・甘ったれ・
新しもの好き・体裁屋・嘘つき・凝り性・怠け者・
・・・(中略)・・・きりがないからやめますが
貴方はまことに男の中の男であります。
私はそこに惚れているのです。
意中の相手の名はマハシャイ・マミオ。
バンコク育ちのオス猫だった。
「ジョニー・ロットン」
シド・ヴィシャスのように
死ぬということが
パンクだとすれば、
ジョニー・ロットンのように
生きるということもまた
ひとつのパンクだろう。
かつて、
セックス・ピストルズの
ボーカルとして
世間を騒がせた男は、
今世紀に入って
テレビのバラエティ番組に
「一流コメディアン」として突如登場し、
再び世界を驚かせている
そういえば
ピストルズのラストライブで
彼は言っていた。
アハハ、騙された気分はどうだい?
「中島春雄」
俳優、中島春雄。
彼が初めての
主演映画の撮影を目前にして
むかった場所。
それは動物園だった。
中島は言う。
猿は参考にならなかったが、
象や熊の動きは非常に参考になった。
そんな彼の演じた
“ゴジラ”という役は
その後おおいに当たり、
日本のみならず、
世界中を熱狂させることになる。