宮田知明 10年05月22日放送
シャーロックホームズの産みの親、
アーサー・コナン・ドイル。
彼は推理小説を書く傍ら、
ロンドンで眼科専門医として診療所を開いていた。
その難しいかけもちを可能にできたワケ。
それはコナンドイル自身ではなく、
ホームズが語っていた。
ワトソン君。君はただ眼で見るだけで、
観察ということをしない。
見るのと観察するのでは大違いなんだぜ。
なるほど、探偵と医者には、そんな共通点が。
彼は、現実社会においても、その観察眼を駆使して、
二人の被疑者の冤罪を晴らすことに貢献した。
今日は、ホームズの父、コナンドイルの誕生日です。
小峰元「アルキメデスは手を汚さない」
青春推理小説という、ミステリーの新しいジャンルは、
この本から始まったと言っても過言ではない。
ただの謎解きではない、青春推理小説。
若いっていいな、そんな言葉では表せない、
青春という時代のもつ魅力は、
登場人物のこんな言葉に集約されている。
いいかい?いまの日本で、知能指数が一番高いのは、
われわれ高校二年生なんだぜ。
ノーベル物理学賞の受賞者だって、万葉集を読ませれば
君たちほどの学力があるかどうか怪しいものさ。
高校生のみなさん、人生でいちばん知能指数の高い今を、
大事に使っていますか?
ミステリー作家、宮部みゆきは、
もともとは速記者だった。
対談や講演などの発言内容を、
早く正確に記号で筆者して、
元のきちんとした言葉にする仕事。
彼女はそこで文章を伝わるように書く、
ということを覚えた。
そして好きなミステリーを読んでるうちに、
ちょっと書いてみたくなった、
というのがきっかけ。
どんな仕事も、何か別の
すごい仕事の入り口になっていることがある。
そう、きっと、あなたの仕事も。
東野圭吾の「新参者」
そのストーリーは、
そのまま彼の歩いた道でもある。
人形町を舞台にすることは決めていた。
ただ、何を書くかは決めていなかった。
その日、人形町は暑かった。
喫茶店で、街を行き交うサラリーマンを眺めながら、
第一話、煎餅屋の娘の話が作られていった。
ひとりの人間を描こうとすると
そばにいる人々の姿も描かざるを得なくなった。
そうしてドラマが繋がっていった。
東野圭吾がこの小説について語っていることを要約すると
シャーロック・ホームズの言葉に限りなく近づく。
ワトソン君、ただ見ることと観察することは大違いだぜ
才能。
英語に訳すと、GIFT。
つまり「天からの贈り物」
2009年の本屋大賞をデビュー作「告白」で受賞し、
その才能でミステリー界に彗星のように現れた、湊かなえ。
でも彼女に言わせると・・・
才能とは、天からの贈り物ではなく、
期間限定で貸し出されるものだ。
はた目にすごい才能を持ってる人ほど、
陰で努力をしてるのは、言うまでもないこと。
彼女も天からの贈り物を返却する前に、
とことん使い尽くすだろう。
「それだけは勘弁してください。」
国家公務員として11年働き、
上司から係長にしてやると言われたときの
西村京太郎の言葉。
権威的な官僚生活に嫌気がさし、
そこから数年間は、私立探偵やトラックの運転手、
警備員などの仕事をしながら小説家を目指した。
トラベルミステリーの第一人者、西村京太郎は言う。
「人間、なんとかなるサって開き直ることがないとね」
体は子ども、頭脳は大人。
コナン・ドイルとエドガー・アラン・ポーの名前から生まれた
漫画の主人公、名探偵コナン。
彼は平成のシャーロック・ホームズをめざして
日々、事件と取り組んでいる。
名探偵コナンシリーズの魅力のひとつは
セリフらしい。
名言集をコレクションしている人までいる。
そのいくつかを抜き出してみよう。
人が人を助けるのに論理的思考は存在しねえだろ。
真実はいつもたったひとつしかねーんだからな
逃げるなよ、自分の運命から
Fear of death is worse than death itself
世の中には謎のままにしておいた方がいいこともある。
そして、漫画の第一巻ではこんなことを宣言している。
なりたいんだ! 平成のシャーロック・ホームズにな!
がんばれ、コナン。