彼は、生涯で何百人もの人間を殺した。
また数多くの犯罪者を見つけた。
犯罪者の心の闇に焦点をあて、
人間の本質を見事に描いた小説家松本清張。
空前の執筆量
相次ぐベストセラー
そして所得番付では作家部門のトップになったが
文壇での評価は本の売れ行きとは反比例する傾向にあった。
でも、清張は気にしなかった。
「小説が面白すぎると批評家のけいべつを買うようだ」
そう語ると、また次の作品を書きはじめた。
世界的な俳優・映画監督、Clint Eastwood。
彼の名はアナグラムで
「懐かしい西部劇」を意味する「Old West Action」になる。
西部劇のスターからダーティハリー、
そして、反戦、非暴力を訴える映画監督へ
老いてなお映画の世界を開拓する現代のカウボーイは、
人生という荒野の歩き方を次のように教えてくれる。
I don’t believe in pessimism.
If something doesn’t come up the way you want, forge ahead.
If you think it’s going to rain, it will.
「思い通りに行かなくても先に進もう。
雨になると思ったら本当に雨が降るものだ」
この世でいちばん官能的な靴とは?
その答えは、今、きっとクリスチャン・ルブタンだ。
鮮やかなレッドソール。
大胆なカッティング。
その独創的な靴のつくり方をルブタンは次のように語る。
「デザインしているときに、
思い浮かべるのはヌードの女性なんだ。
一番良いのはショーガールだね。
彼女たちは裸でヒールを履いているから。
服は僕の志向を邪魔するんだ」
ファッションではない
ましてやドレスの付属品でもない
そんな視点から靴を見る時代が来ているのかもしれない。
ゴールを決められるわけでもない、
キラーパスを出せるわけでもない。
にもかかわらず、
世界中のサッカーファンから世界一と評された男がいる。
ピエルルイジ・コッリーナ。
イタリアのサッカー審判員だった彼は
的確なレフェリングで多くの重要な試合を担当し、
5年連続でFIFA最優秀審判員に選出された。
コッリーナが審判の定年規定の45歳を迎えた時、
サッカー協会は彼の功績を認め、
特例として定年後も審判を続けてほしいと依頼した。
しかし、彼は次のように言った。
「審判はルールを守らせる存在だ。
だからわたしもルールに従うさ」と。
イタリアの審判2万5千人のうち
セリエB以上で審判をつとめるのはたった35人
優れた審判員になるのは、もしかしたら
選手になるよりむづかしいのかもしれない。
あなたは自分以外の人すべてを敵に回しても、
自分の信念を貫けるだろうか。
アメリカの上院議員ポール・ウェルストンは、
2002年のイラク戦争決議の際、
ただ一人反対票を投じた。
誹謗中傷が毎日のように彼を襲い、
臆病者と多くの人に揶揄された。
反戦活動の志半ばで
しかも選挙活動のさなかに謎の航空機事故という
無念の死を迎えたウェルストン。
今、彼を臆病者と言う者はいるだろうか。
漫画家水木しげるは代表作「ゲゲゲの鬼太郎」で
本来ならば恐ろしい姿をしているはずの妖怪を
不思議なほど人間臭く描いている。
ねずみ男、猫娘、砂かけ婆
一反木綿に子泣き爺
欠点も弱点も充分すぎるほど持ち合わせている妖怪は
とぼけたユーモアがあり、子供たちにも愛された。
さて、そんな妖怪たちを紹介する
水木しげるの「妖怪画談」にはこんな言葉があった。
春はあけぼの。夏は化けもの。
おとぼけとユーモアは
水木しげる本人の持ち味らしい。
可能性が0に近いことに挑むときは
どうすればいいのだろうか。
考古学者ハインリッヒ・シュリーマンが
その答を教えてくれる。
シュリーマンは
ホメロスの叙事詩が単なる神話でないことを
発掘によって証明した人物だ。
子供の頃に読んで感動したホメロスの叙事詩。
その物語の中にあるトロイア遺跡の存在を証明するために
シュリーマンはまず商社マンになり、財産を築いた。
42歳になるとすべての事業から手を引いて
考古学者になるための準備をはじめた。
2年間の世界旅行、そしてソルボンヌ大学へ入学。
トルコのヒッパロスの丘に最初の鍬を入れ
トロイア発掘に乗り出すのはシュリーマン48歳のとき。
そして3年後、
トロイアと、それより1000年も古い古代エーゲ文明の遺跡も発見してしまう。
目的を持った人生の道は
ゆっくり確実に歩けばいい。
シュリーマンの人生がそう語っている。